メディア

Infineonが狙う70の関節、ヒューマノイド1台「500ドル」の商機:小型関節でGaN採用拡大へ(2/3 ページ)

» 2026年10月01日 11時00分 公開
[永山準,EE Times Japan]

関節に有望のGaN、シリコンとどう使い分ける?

 モーター制御でInfineonが採用拡大を見込むのがGaNだ。White氏は、肘関節などではモーターや制御基板の小型/軽量化が重要で、重量増はバッテリー駆動時間にも影響すると説明する。PCIMでは100V GaNを使ったモーター制御向けリファレンスデザインも披露した。

 Infineonは肘関節向けに、マイコン「AURIX」または「PSOC」、100VのGaN統合ドライブ、電流/位置センサーを組み合わせた構成を提案する。マイコンについては、自動車向けと同等の機能安全を求める顧客がいる一方、コンシューマー向けの水準で十分とする顧客もあり、要求に応じて使い分けるという。

ヒューマノイドの肘関節向けモーター制御ソリューション ヒューマノイドの肘関節向けモーター制御ソリューション[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

 GaNとSiについては、今後も両方が使われるとInfineonはみている。White氏はGaNについて、高周波でスイッチングすることで基板を小型化し、電力密度を高められる点をメリットに挙げる。特に肘関節など、小型化が重要な部位がGaNに適しているとする。一方、Siはコストと性能のバランスでメリットがある。

 Belancic氏はGaNのメリットとして熱も挙げた。高周波スイッチングによって基板だけでなくモーター側で熱損失を抑えられるとする。ただし、高出力の関節ではGaNへの移行は比較的遅く、小型の関節では採用が進みやすいとの見方だ。また、GaNの高いスイッチング周波数を生かすには、モーター側の技術も対応していく必要があると説明した。

手指向けは4×4mmにモーター制御を統合

 高度な制御が要求される手指向けには、統合型モーター制御製品「MOTIX」と電流/位置センサー「XENSIV」を組み合わせたソリューションを提案する。Belancic氏によれば、ヒューマノイドでは正確かつ効率的なモーター制御が重要になる。電流センサーで高速な電流ループを検出するとともに、位置センサーで関節の位置を把握する。特に手指の器用さを実現する上では位置センサーが重要になるといい、Infineonはこの領域の製品ロードマップも強化している。

ヒューマノイドの手指向けモーター制御ソリューション ヒューマノイドの手指向けモーター制御ソリューション[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

ロボット内部の通信にEthernet、Marvellから買収の強み

 モーターやセンサーの数が増える中、ロボット内部の通信も重要になる。Infineonが採用拡大を見込むのがEthernetだ。同社は2025年8月、Marvell Technologyの車載Ethernet事業の買収を完了した。White氏は、自動車でEthernetの普及が進むのと同様に、ヒューマノイドでも生成するデータ量の増加を背景に採用が拡大するとみる。

 Belancic氏も、現在はEtherCATやCANが使われているものの、「Ethernetが今後の方向になる」との見方を示した。帯域幅に加え、モーター制御だけでなくセンサーも接続できる点を理由に挙げる。また、協業するNVIDIAもEthernetを採用していることが、Ethernetへの移行を後押しするとも強調した。

 Infineonはロボット内部の有線通信に、マルチギガビット級の帯域やTSN(Time-Sensitive Networking)によるマイクロ秒単位の決定性などを想定している。

Infineonが想定するロボット内部の有線通信 Infineonが想定するロボット内部の有線通信。Ethernetを軸にマルチギガビット通信やTSNへの対応を想定する[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies

演算は中央集約と分散処理を組み合わせ

 ヒューマノイドの演算処理については、中央集約と分散処理を組み合わせる方向に進むとInfineonはみている。White氏は、GPUやASIC、TPUなどを使って演算能力を集約する動きがある一方、全ての処理をGPUに集約する必要はないと語った。

 Belancic氏は「人間には脳があるが、脊髄もある。熱いものに触れたとき、その情報を全て脳まで送ってから反応するわけではない」と説明。ヒューマノイドでも、アクチュエーターの高速な処理などはローカル側で担い、中央集約と分散処理を組み合わせる構成になるとした。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

特別協賛PR

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.