セキュリティでもNVIDIAと協業する。Infineonは同社の「OPTIGA TPM」とNVIDIAの「Jetson Thor」を組み合わせ、フィジカルAI向けに量子耐性を備えたハードウェアルートオブトラストを実現する取り組みを発表している。ソフトウェアの完全性確認やAIモデル/通信の保護、PQC(Post-Quantum Cryptography:耐量子計算機暗号)で保護したファームウェア更新などに対応する。
Infineonの「OPTIGA TPM」とNVIDIAの「Jetson Thor」を組み合わせたロボット向けセキュリティソリューション[クリックで拡大] 出所:Infineon Technologies ヒューマノイドの普及に向けた課題の1つがバッテリー駆動時間だ。Infineonがシンガポールの施設で試験導入しているロボットは上半身が人型だが、移動には脚ではなく車輪を使っているという。White氏によれば、その理由はバッテリー駆動時間にある。脚で歩行するには多数の関節を動かす必要があり、車輪より多くの電力を消費するためだ。
もう1つの課題が「器用さ」だ。Belancic氏によれば、現在のヒューマノイドはまだ動作が遅く、特定の作業を行わせるには学習が必要になる。その学習を高速化する手段として挙げたのがシミュレーションとデジタルツインだ。実機で膨大な回数の動作を繰り返すのではなく、仮想環境で試行することで学習時間を短縮する。「100万回もの把持動作を実機で行うのは効率的ではないが、それが2日で行えるのであれば効率的だ」と強調した。
ロボティクス分野では顧客との共同開発にも力を入れる。InfineonはPCIM Europe 2026の開幕に合わせ、ベトナムのVinRoboticsとロボティクス分野で協業するMOU(基本合意書)を締結した。両社は共同のコンピテンスセンターを設け、早期段階からの共同エンジニアリングや統合/共同テスト、リファレンスデザインの提供などを進める。Belancic氏は、「ロボティクス市場では市場投入までの時間が重要だ」と説明。協業によって、製造業の集積が進む東南アジアで自動化やヒューマノイドを含むロボティクスの導入を加速する考えを示した。
Infineonが対象とするのはヒューマノイドだけではない。倉庫自動化向けのモバイルロボットやドローンにも、モーター制御を中心に幅広い半導体を展開している。Belancic氏によれば、モバイルロボットでは現在Siを使用しているが、既にGaNの採用についても議論を始めていて、「GaNは今後の方向性の1つになる」との見方を示した。ドローンでも、小型/軽量化による積載量の増加や、高効率化による飛行時間の改善などを狙う。
Belancic氏は、ヒューマノイド1台当たり平均約500米ドルとするInfineonの半導体SAMについて、ロボットの機能が高度化するのに伴い「今後数年間で確実に増えるだろう」と強調。その上で「われわれは次世代ロボティクスに対応する準備ができている。顧客による導入やテストを支援し、パートナーシップを構築していく。パートナーシップなしに成長することはなく、エコシステムが鍵だ」と述べ、米国、欧州、アジア、中国などで協業を広げていく考えを示した。
「Spansion」復活へ、WinbondがInfineonのNORフラッシュ事業買収
Infineon、AI向け電源IC企業C2iを買収 垂直給電を強化
GaN市場でInfineonが5位から2位に急浮上 AIが変える勢力図
「先の見えない時代にRISC-Vは最適」 SDVでの標準化目指すInfineon
Infineonがパワー半導体新工場 拠点の能力倍増でAI需要に対応
触覚はPSOC 4、関節にGaN、目や耳も――人型ロボット向けで攻めるInfineonCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング