高エネルギー加速器研究機構(KEK)と京都大学の研究グループは、リチウムイオン導電性固体電解質「LATP」に対して、イオン伝導率がほぼ10倍上昇する新たな手法を見出した。イオン導電性を原子レベルで解明することにも成功した。研究成果は全固体電池の材料開発に大きく貢献するとみられる。
高エネルギー加速器研究機構(KEK)物質構造科学研究所のソウ ホウシュウCIQuS博士研究員、森一広教授、京都大学大学院エネルギー科学研究科の高井茂臣准教授らによる研究グループは2026年10月、リチウムイオン導電性固体電解質「Li1.3Al0.3Ti1.7(PO4)3[LATP]」に対して、イオン伝導率がほぼ10倍上昇する新たな手法を見出したと発表した。イオン導電性を原子レベルで解明することにも成功した。研究成果は全固体電池の材料開発に大きく貢献するとみられる。
LATP固体電解質は、原材料や製造コストが安価である。このため全固体リチウムイオン電池の低価格化を実現するための有力な材料の1つとなっている。ただ、実用化に向けてはイオン伝導率の改善が不可欠といわれている。
そこで今回は、酸化サマリウム(Sm2O3)を焼結添加剤として用い、1000℃で熱処理した。これにより、LATP固体電解質の微細構造および原子配列(結晶構造)を調整した。この結果、Sm2O3を添加していないLATPに比べると、Sm2O3を9wt%添加したLATPのイオン伝導率(20℃)は10倍程度も上昇した。
電気化学インピーダンス分光法によって、粒子間界面のイオン伝導率が大幅に改善されていることを確認した。また、中性子回折法とX線回折法を併用し、原子配列を精密に決定した。これにより、LATP中のPO43-イオンがSm2O3焼結添加剤と再結合し、SmPO4相やLiTiOPO4相を生成していることが判明した。この反応により、LATPの微細化が促進され、LATP結晶構造内のLi含有量が変化することも分かった。
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