岡山大学と名古屋大学、京都大学、広島大学および、高エネルギー加速器研究機構(KEK)らの研究グループは、高い熱電性能を示す半金属「Ta2PdSe6」において、電子が集団的電荷振動と結合した新しい準粒子状態「プラズモニックポーラロン」を初めて直接観測することに成功した。
岡山大学と名古屋大学、京都大学、広島大学および、高エネルギー加速器研究機構(KEK)らの研究グループは2026年3月、高い熱電性能を示す半金属「Ta2PdSe6」において、電子が集団的電荷振動と結合した新しい準粒子状態「プラズモニックポーラロン」を「世界で初めて」(同グループ)直接観測することに成功したと発表した。
熱電材料は、温度差によって電気を取り出すことができる。このため、エネルギー回収や冷却技術への応用が期待されている。しかし、電子と正孔が共存する半金属は電気伝導度が高い半面、それぞれの寄与が打ち消し合うため、熱電性能は小さいと考えられてきた。
そこで研究グループは今回、半金属でありながら高い熱電性能を示す準一次元物質「Ta2PdSe6」について、KEKフォトンファクトリーと広島大学放射光科学研究所での角度分解光電子分光(ARPES)により、電子の動きを直接観測した。
この結果、2つの異なる性質を持つ電気の運び手が存在することを明らかにした。それは、「軽くて動きやすい正孔」と、「動きにくく散乱されやすい電子」である。一般的な半金属だと電子と正孔の動きやすさは同程度だが、Ta2PdSe6は電子と正孔で性質が異なる(電子状態の非対称性)ことが分かった。また、電子が周りの電荷の揺れと結びついた特殊な状態「プラズモニックポーラロン」が、電子キャリアにだけ働くことも確認した。これらの特性によって、半金属でありながら高い熱電特性が得られることを明らかにした。
今回の研究成果は、岡山大学学術研究院先鋭研究領域(異分野基礎科学研究所)の大槻太毅准教授と、名古屋大学大学院理学研究科の中埜彰俊助教(現在は同大学大学院工学研究科講師)、寺崎一郎教授、京都大学大学院人間・環境学研究科の吉田鉄平教授、広島大学大学院先進理工系科学研究科の長谷川巧准教授、広島大学放射光科学研究所の有田将司技術専門職員、高エネルギー加速器研究機構物質構造科学研究所の堀場弘司准教授(現在は量子科学技術研究開発機構上席研究員)、北村未歩助教(現在は量子科学技術研究開発機構主任研究員)らによるものだ。
有機半導体によるUHF帯整流ダイオードを開発、東大ら
ウエハー内部のPN接合を非破壊/非接触で評価
新分子設計で有機半導体の励起子束縛エネルギー低減
新たなプロセス開発でエッチング速度を5倍向上、名古屋大ら
人工反強磁性体+圧電体で「超省エネ」デバイス実現へ
高コスパのp型半導体ポリマー、有機薄膜太陽電池の実現加速へCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
記事ランキング