韓国のSamsungグループは、地球環境に配慮する技術や医療など新興の5事業に向け、今後10年間で約23兆3000億ウォン(約206億米ドルに相当)を投資する計画を発表した。
5事業の内訳は太陽電池、照明向けLED、電気自動車やハイブリッド車に向けたリチウムイオン二次電池、バイオ・テクノロジーを利用した医薬品そして医療機器だ。Samsungグループはこれら5事業への投資で、4万5000人分の雇用を生み出せると見込んでいる。また、この投資により、2020年には年間売上高がさらに約50兆ウォン(約450億米ドルに相当)増加するという。
Samsung Electronics社でチェアマンを務めるLee Kun-hee氏は、「世界各国の政府は現在、エネルギー源の枯渇という問題に対処するため、こぞって環境に優しい(グリーン)産業に投資している。当社は、この動きを新たなビジネスの機会ととらえ、断固として前進しなければならない。」と述べた。
米AP通信の報道によると、今回の投資対象のうち、最も大きい規模となるのは液晶ディスプレイやテレビで使用するバックライトや照明用途向けのLED事業で、8兆6000億ウォン(約76億米ドル)を投じる予定だ。このほか、太陽電池の事業には6兆ウォン、電気自動車やハイブリッド車に向けたリチウムイオン二次電池の事業には5兆4000億ウォン、バイオ・テクノロジーを利用した医薬品の事業には2兆1000億ウォン、そして医療機器の事業には1兆2000億ウォンの投資を計画している。
この投資は、半導体や液晶ディスプレイ、家電製品といった、Samsungグループの中核事業を多様化させる経営戦略の一環だ。Samsungグループは、この経営戦略で、米General Electric社や、オランダRoyal Philips Electronics社、ソニーなどとの競争を、有利に展開できるとしている。同グループの戦略は、一般的な経営手法であり、先日台湾TSMC(Taiwan Semiconductor manufacturing Company)社が発表した、LEDと太陽電池の製造に関連した経営計画も、同様のものといえる。
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