東京大学大学の竹内健氏の研究グループがIMW 2010で発表したメモリコントローラについてのタイトルは、「Post-manufacturing,17-times acceptable Raw Bit Error Rate Enhancement, Dynamic Codeword Transition ECC Scheme for Highly Reliable Solid-State Drives, SSDs」である。
この発表の基本アイデアは、NAND型フラッシュメモリの状況に合わせて、ECC(Error Correcting Code:誤り訂正符号)による誤り訂正機能の強度を変えようというものだ。すなわち、NAND型フラッシュメモリを使い始めた当初の誤り率が低いとき(期間)には、ECC処理の強度を低くし、長期間使用するなどして誤り率が高まったときには、ECC処理の強度を高くする。
具体的には、NAND型フラッシュメモリの書き換え回数やエラー回数といった指標を監視し、あらかじめ決めておいたしきい値を上回ったときにECCのコード長(codeword)を変える。
このような仕組みをコントローラに実装すれば、特にNAND 型フラッシュメモリの誤り率が低い期間における、ECC処理ブロックでの消費電力や処理時間の低減が見込める(図A)。ECC処理が強力だと、許容できる誤りビットは増えるものの、消費電力や処理時間が増大してしまうからだ。信号処理技術に強みを持つベンチャー企業「シグリード」と共同で発表した。「この技術は、すぐにでも実装可能だ」(竹内氏)という。
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