アナログICおよびミックスドシグナルIC大手のオランダNXP Semiconductors(NXP)社とトッパン・フォームズは、両社が共同開発したNFC(Near Field Communications)リーダー/ライターモジュール「TN33MUE002L」が、米Lenovo社のノートPC「Thinkpad」シリーズの「T410」と「T510」、「T610」で採用されることを明らかにした。
TN33MUE002Lモジュールは、オンライン・バンキングやインターネット・アクセスの認証、PCへのログイン認証など、さまざまな用途に対応する。NXP社のPN533 NFC ICをベースに開発したもので、周波数が13.56MHzの搬送波を利用して非接触で通信する。
NXP社によればTN33MUE002Lモジュールは、世界中の銀行業務や行政サービス、公共交通機関などで利用されている非接触型ICカード規格「ISO 14443」に準拠したType A/Bカードと互換性があるだけでなく、欧州を中心に普及している「Mifare」や日本国内で普及している「Felica」などの非接触型カードとの互換性も備えるという。また、米Microsoft社によるWindows周辺機器としての認証を受けており、Windows XPやWindows Vista、Windows 7で利用できる。デバイス・ドライバは、トッパン・フォームズのNFCソフトウエア開発キットに入っている。
トッパン・フォームズでジェネラルマネジャーを務めるKatsuhiko Moriyama氏は、NXP社が発表した資料の中で、「当社は今回、この画期的なモジュールを開発したことにより、NFCリーダー/ライター事業を拡大して、PC業界におけるデファクトスタンダード(事実上の標準)の地位を獲得したいと考えている。NFCリーダーがPCに搭載されることで、NFC技術をさらに向上させ、ユーザー層を急速に拡大できると期待している。また、PC市場だけでなく、携帯電話機や民生機器などのさまざまな製品にも目を向け、NFCの多彩な機能によってもたらされる大きなメリットを提供していきたい」と述べている。
NXP社でセキュア・トランザクション担当ジェネラルマネジャーを務めるHenri Ardevol氏は、「今回のプロジェクトでは、NFCリーダーをPCに導入するという重要な成果を挙げた。さまざまなPCでNFC技術を展開していくことにより、支払いの認証や安全性の高いオンラインバンキング、幅広い行政サービスの提供など、消費者がPC上で安全に取引できる画期的な新機能を実現できる」と述べる。
NFCは、免許が不要なISM帯の13.56MHz周波数を利用する。通信距離はcm単位だ。NFC技術に対応する機器同士を接近させるだけで、あらゆる種類の情報を安全にやりとりしたり保存することができる。またNFCは、Bluetoothや無線LANなどの無線接続を自動的に設定して実行できる。Bluetoothや無線LANを使えば、通信範囲の拡大だけでなく、データ伝送速度の向上も実現可能だ。
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