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先端FPGA用POL電源設計の勘所、DC-DCモジュールの活用法を紹介(後編)電源設計 DC-DCコンバーター(1/4 ページ)

1つの事例を紹介しよう。あるシステム設計者の電源に対する要求は、4個のFPGAで構成された負荷に、電源電圧1.5V、負荷電流40Aを供給することだった。供給電力は60Wに達する。

» 2010年09月08日 00時00分 公開
[Alan Chern, Afshin Odabaee, Shuichi Harada,リニアテクノロジー]

→DC-DCコンバータの設計時に気を配るべきポイントをまとめた前編の続き。

システム設計者の要望に応える

 ここで、1つの事例を紹介しよう。あるシステム設計者の電源に対する要求は、4個のFPGAで構成された負荷に、電源電圧1.5V、負荷電流40Aを供給することだった。供給電力は60Wに達する。この担当者は、自分自身の複雑な作業に時間を割けるように、下記の要求を満たしつつ、できるだけ簡略な電源ブロックを要求した。

(1)できるだけスムーズな空気の流れを確保すること。そのために、チップは薄く、表面実装タイプであること。チップが薄ければ、周囲の半導体チップへの空気の流れを遮ることはない。

(2)発熱を最小に抑えるために、変換効率は十分高くなければならない。

(3)熱を均一に拡散させて熱集中を無くし、ヒートシンクを最小または不要にするために、複数にチップで電流を分配するカレントシェアリング機能があること。

(4)手間を掛けずに短時間で完成できる表面実装パッケージのDC-DCコンバータであること。DC-DCコンバータ制御ICや、MOS FET、インダクタ、コンデンサ、補償回路など必要な要素をすべて搭載していること。

図1 図1 米Linear Technology社(当社)のDC-DCコンバータ「DC/DC μModuleレギュレータ」の評価基板 1つのパッケージにDC-DCコンバータを実現するすべての要素を詰め込んだDC/DC μModuleレギュレータを4つ使った。パッケージの外形寸法は15mm×15mm×2.8mm。4つのDC/DC μModuleレギュレータを使って合計で最大48Aの出力電流を得る。DC/DC μModuleレギュレータはICの形状をしているので、基板実装時にIC用と同じ装置で扱える。

 当社(リニアテクノロジー)は、上記の要求を満たすものとして、DC/DC μModuleレギュレータ「LTM4601」を用意している。図1に評価基板の外観、図2には回路例を示した。

 図1に4つ見える黒い四角がLTM4601である。15mm×15mm×2.8mmのLGAパッケージに封止してある。このLGAパッケージに、PWM制御回路、インダクタ、入力コンデンサ、出力コンデンサ、低オン抵抗のMOS FET、ショットキーダイオード、補償回路が組み込んである。外付け部品は、入力と出力にコンデンサ、出力電圧を設定するための抵抗だけでよい。入力電圧範囲は4.5V〜20V、出力電圧は0.6V〜5Vで、出力電流12Aを供給可能である。このLTM4601は、ICの寸法にまで小型化したDC/DCコンバータだといえる。ピン互換のLTM4601HVもあり、この品種は入力電圧の上限が28Vである。

 ICをベースにしたDC-DCコンバータ回路や、基板に各種部品を実装した電源モジュールに比べ、1つのパッケージに全ての機能を実装した品種の特徴は、負荷の増加に合わせて出力を容易に高められることだ。例えば、1つのμModuleレギュレータが供給可能な値よりも、負荷に必要な電流値が大きい場合、単にμModuleレギュレータを並列に追加すればよい。電気的な配線の問題はパッケージ内部ですべて解決しており、インダクタやスイッチといった並列に回路を組むときに配慮すべき外付け部品はない。

 LTM4601は、出力電圧のトラッキング機能とマージニング機能を内蔵している。スイッチング周波数は最大負荷時に850kHzと高い。内蔵したDC-DCコンバータ制御回路は、安定性を維持したまま、高速負荷応答を実現している。特定の高調波の雑音が気になるときは、内蔵PLL回路によって、スイッチング周波数を外部クロックに同期できる。

図2 図2 DC/DC μModuleレギュレータを4つ使ったFPGA用電源回路 4つのDC/DC μModuleレギュレータを並列に接続し、出力電流を高めた。外付け部品が少ないため、回路設計が容易である。LTM4601-1は、リモートセンサー用アンプを搭載していない品種である。
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