図2に例示した回路は、出力電圧1.5V、最大48Aの負荷電流を供給する。LTM4601を4つ使うことで、4×12Aの出力を供給する。これらのDC-DCコンバータ回路は互いに同期しているものの、互いに90度ずつずらして動作させているので(図3)、相殺効果によって入力と出力に含まれるリップル電流を減らせる。位相をずらして動作させることにより、ピーク入力電流とピーク出力電流が、デューティーサイクルに依存するものの、約20%減少する。リップル電流を抑制できると、外付けコンデンサの電流定格と寸法を減らせるため、部品コストと基板面積を削減できることになる。
図2の例では、DC-DCコンバータ回路間の同期と位相シフトは、シリコン発振器「LTC6902」が担当した。この発振器は、4つの基準信号を出力し、それぞれの位相は90度ずつシフトしている。
LTM4601のPLL入力端子にシリコン発振器の基準信号を入力する。LTM4601のPLL回路は、位相検出器と電圧制御発振器で構成しており、最大850kHzの周波数の基準信号の立ち上がりにロックさせることができる。少なくとも、波形の幅が400nsで振幅が2VのパルスがPLL端子に入力されると、PLL回路は動作する。
出力電圧を設定するには、外付け抵抗を1つ使う。DC-DCコンバータ回路を並列に構成するときは、抵抗値は並列にした数に依存する。LTM4601を並列にすると、内部帰還抵抗の等価抵抗値が変わるからだ。
出力電圧(Vout)と、出力電圧設定用の外付け抵抗(RFB)の関係式は、以下の(1)式の通りである。
ここで、0.6は、LTM4601のリファレンス電圧の値、60.4kΩは内部帰還抵抗の値、nは並列接続したLTM4601の個数である。
図4に、負荷電流に対する変換効率を示した。広い負荷電流範囲に渡って、高い変換効率が得られていることが分かる。図5にソフトスタート機能の効果、図6に並列接続したLTM4601がそれぞれ10A(合計20A)まで上昇するときの出力電流を示した。図6から分かるように、並列接続したDC-DCコンバータ間で、起動時から最大負荷に至るまで、十分にバランスの取れたカレントシェアリングが実現できる。
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