半導体大手のサムスン電子は、スマートフォン用の組み込み型フラッシュメモリを内蔵したNFC(短距離無線通信)チップを発表した(図1)。
サムスン電子によると、同チップは組み込み型不揮発メモリを搭載した初めてのNFCチップになるという。スマートフォンの開発メーカーは、このメモリを利用してソフトウエアやファームウエアのアップグレードを実行できる。
NFCチップを利用すれば、Bluetoothや無線LAN(WiFi)通信を導入しなくても、高速データ通信をワイヤレスのピアツーピア通信で手軽に実現できる。サムスン電子は、ソフトウエア・プロトコルスタックのほか、アンテナの設計やチューニングに必要な技術サービスも提供していく方針だという。
NFCは、約10cm(約4インチ)以内の近距離でデータ通信を実行する。NFCチップは非接触型スマートカードとして使われており、バスや地下鉄などの公共交通機関の料金の支払いやモバイルバンキングでの支払いに利用されているほか、小売店のRFIDタグや屋外の広告看板のデータの読み込みも可能だ。
2015年には携帯電話機の1/4がNFC対応
英国の市場調査会社であるIMS Researchの予測によると、携帯電話機の販売台数は、2011年の14億台から7%の年平均成長率(CAGR)で増加し、2015年には18億台に達するという。NFC対応の携帯電話機は今後の成長が見込まれており、2015年には携帯電話機市場の26%を占めると予想される。
なお、サムスン電子は、今回の新NFCチップの量産を2011年第1四半期に開始する予定だという。
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