価格の下落や市場の縮小など、フラットパネル市場は苦境が続いている。そのような中、ディスプレイ駆動IC事業を手掛けるルネサスは、同事業から手を引くという決断を下した。
ルネサス エレクトロニクスは2012年1月31日、テレビ受像機など向けに提供してきた大型ディスプレイ駆動IC事業から撤退すると発表した。同社によると、同事業についてはこれまで微細化による製造コストの削減や開発の効率化などを実施し、業績の改善を図ってきた。しかし、テレビ受像機向けを中心としたフラットパネル市場の減速や価格下落が進んでおり、採算の確保が困難な状況が続いているという。さらに、「今後も回復の見通しが立たないことから、現在進めている事業構造対策の中で検討した結果、事業継続は難しいと判断した」(同社)と説明している。
撤退のスケジュールについては次のように表明した。大型ディスプレイ駆動ICの開発は2012年3月末をもって停止する計画だ。既に量産している製品の供給については、顧客と相談しながら、2013年3月末をもって停止する予定だとしている。なお、連結子会社であるルネサスエスピードライバの中小型ディスプレイ駆動IC製品については、従来通りに顧客に提供するという。
ルネサス エレクトロニクスは、今回の事業撤退が2012年3月期の業績に与える影響は軽微だとしている。また、2013年3月期以降の業績に与える影響については、「撤退の進捗に合わせて今後精査していく」(同社)と述べている。
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