何のために技術を使うのか――。その問の1つの答えとなるM2M。森川氏は改めて以下のようにM2Mの大枠を説明した。
「インターネットは40年、ユビキタスという研究領域は10〜20年の歴史がある。これらを次に発展させたものが、今キーワードになっているM2MやCyber Physical System、Internet of Things、ビッグデータなどだ。今まではPCだけをインターネットにつなげていたが、これからは全てのモノをインターネットにつなげていこうという流れになっている」(同氏)。
最近になってようやく、実世界のデータをインターネットにつなげられる環境が整ってきたため、M2Mやビッグデータという言葉がバズワードになりつつあるという。M2Mの特徴として、デバイス、ネットワーク、プラットフォーム、アプリケーション/サービスといったように構成要素が多岐にわたり、関連する企業が多いことが挙げられる。このような枠組みで集めた各種データが膨大なアプリケーションの創出につながる。
実は既にM2Mは、自動販売機や重機、エレベータの遠隔監視などに活用されている。しかしこれらは全て、各企業が独自のプラットフォームで構築した垂直型のM2Mである。これから考えていくべきこととして同氏が語ったのが、垂直型から水平型への移行だ。水平型に展開すると、収集したデータを特定の用途だけではなくさまざまな用途に活用できる。
「歴史をひもといてみると、コンピュータや自動車でもそうだったように、自社で全ての要素を構築する垂直型からスタートしてきた。しかしながら、どこかのタイミングで(各要素をそれに特化した企業が提供するという)水平型に移行するというのが歴史の常だ。M2Mについても水平型があるタイミングで生まれてくるだろう。この水平型のプラットフォームを誰が主導するのかという点は、とてもチャレンジングなテーマだ」(同氏)。
GoogleやAmazonなどインターネット上で優れたWebサービスを構築している企業も、M2Mで収集する実世界データに興味を持っている。同氏が、GoogleやAmazonに対抗する軸となると説明したのがこの実世界データの活用である。「Webサービス以外の領域であれば、今ならばこれらの企業と同じ土俵に立って勝負できる。それには、M2Mで膨大なデータを集めて、予測・発見・整理など深い分析を行う仕組みが必要だ」(同氏)。
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