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Appleのプロセッサ「Aシリーズ」の系譜プロセッサ/マイコン(1/3 ページ)

Appleは、2013年中にも「iPhone 5S」と第5世代の「iPad」を発売するとみられている。これらには、プロセッサ「A7」「A7X」が搭載されるという見方がある。ここでは、これまでのiPhone/iPadに搭載されてきたプロセッサが、どんな進化を遂げてきたのかを振り返る。

» 2013年04月05日 11時32分 公開
[Don Scansen, Paul Boldt,EE Times]
AppleのAシリーズ

 Appleが「iPhone 5S」と第5世代の「iPad」を2013年内に発売する可能性が濃厚になってきた。

 うわさによれば、iPhone 5Sと第5世代iPadには、それぞれ「A7」と「A7X」のプロセッサが搭載されるという*1)。ただし、Appleが、カスタムチップの自社設計をやめてIntel製のチップを搭載した場合、話は別だ。Appleがチップの自社設計から手を引くのではないかといううわさは、米国のウォール街でも広まっている。

*1)「A7」については、TSMCが2013年5〜6月頃に試験生産に入るとみられている(関連記事:やはりSamsungを切ったApple、「A7」プロセッサはTSMCがまもなく設計完了か)。それを考慮すると、新型プロセッサは、iPhone 5S/第5世代iPadには間に合わないのではないかとみる向きもある。

 カナダの投資銀行であるRBC Capital Marketsでアナリストを務めるDoug Freedman氏は2012年11月末に、「AppleがIntel製プロセッサをiPadに採用すれば、IntelはApple向けプロセッサの製造も手掛けることになるだろう」という予想を発表した。同氏は、「Appleが設計したアプリケーションプロセッサは、よりよい製品が現れるまでの“暫定版”のようなものだ」と述べている。これは、「Aシリーズ」プロセッサの動向を追ってきた同氏が、その進化について考察し、Appleが半導体を自社設計する目的を検証した結果、導き出した結論だという。

「Aシリーズ」の系譜

 下の表は、Appleのプロセッサ「Aシリーズ」の系譜である。2010年の「A4」から、数カ月前に投入されたA6Xまで5種類ある。過去3年間で、Aシリーズは「A*」と「A*X」の2系統に分かれた。また、プロセスは45nmから32nmに微細化している。これらのうち、「A5/A5X」と「A6/A6X」に焦点を当てて見ていこう。

Aシリーズの系譜。横軸は投入時期、縦軸は採用したプロセスである。ダイサイズも記載されている。

グラフィックス性能を強化したA5X

 Aシリーズは、「A5」から、「A5」と「A5X」に枝分かれしている。A5は「iPhone 4S」「iPad 2」「iPad mini」などに、A5Xは「第3世代のiPad(以下、iPad 3)」に搭載されている。

 A5Xは、A5に比べてGPUのサイズが倍増したことから、ダイサイズも35%大きくなった。A5Xのグラフィックス性能をいかに強化したかについては、iPad 3のディスプレイの解像度(2048×1536画素)が、iPad 2(1024×768画素)に比べて4倍になっていることからも分かるだろう。

 また、CPUやGPU以外のデジタルブロック数も異なる。A5のデジタルブロックが12個であるのに対し、A5Xは15個になっている(関連記事:第3世代iPadを分解、新型プロセッサ「A5X」と従来品の差異が明らかに)。

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