次に「A6」と「A6X」について考察してみよう。A6は「iPhone 5」に初めて搭載されたが、これは予想の範囲内であった。Appleが新型iPhoneに合わせてアプリケーションプロセッサも更新してきた経緯を見れば、十分に予測できることだったからだ(関連記事:iPhone 5を分解、新型プロセッサ「A6」の謎に迫る)。
だが、その41日後に、A6Xを搭載した「第4世代のiPad(以下、iPad 4)」が発売されたことは、予想外の展開だった。
Appleはそれまで、年に1回のペースで新型iPadを発表している。しかし、iPad 3が発売されてからiPad 4が発売されるまでの期間は、わずか半年だった。Appleの評論家でさえも、iPad 4の発売については、発売間際まであいまいな予測しか発表できなかったのである。
A6とA6Xのダイの写真を最初に公開したのは、カナダのIPコンサルティング会社であるChipworksだ。本稿では、それに筆者が独自の注釈を付けて掲載する。
A6とA6Xの最も特徴的な点は、Appleが、ARMのコアを使って自社設計したカスタムCPUだということだろう。さらに、自動の配置配線ではなく、手動でレイアウトを行ったカスタム設計である点も、もう1つの特徴だ。ChipWorksは、A6について、「このレイアウト方法はコストと時間がかかる。しかし、クロックレートを確実に高速化できるし、場合によってはより高密度な実装が可能だ。IntelのCPUを除けば、カスタムレイアウトのデジタルコアの走りのような製品である」とコメントしている。
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