Appleの新型iPadを分解して同社の最新アプリケーションプロセッサ「A5X」を調べたところ、従来のiPadが搭載していた「A5」に比べて、チップ面積が3割大きくなっていることが分かった。さらに、チップ上の刻印の形状から、このプロセッサの製造をSamsungが担当していることも明らかになった。
Appleが2012年3月16日に発売したタブレット「iPad」の第3世代機には、同社の新型アプリケーションプロセッサ「A5X」が搭載されている。UBM TechInsightsがこの新型iPadを分解して調査したところ、A5Xのチップ面積は、既存機種「iPad 2」が採用するプロセッサ「A5」に比べて30%超も大きくなっていることが明らかになった。さらに、ダイ上の刻印の形状から、このチップの製造をSamsung Electronicsが担当していることが読み取れたという。なおUBM TechInsightsは、米EE Times誌と同じくUnited Business Mediaの傘下にある技術情報サービス企業である。
UBM TechInsightsのリポートによると、A5Xのチップ面積(ダイサイズ)は163mm2である。A5のチップ面積は122mm2だった(参考記事:Appleの最新プロセッサ「A5」、倍増したチップ面積の謎に迫る)。両チップともに、プロセッサコアについてはARMの同一品種を採用しているが、A5XはGPUとして新たにImagination Technologiesのクアッドコア品「PowerVR SGX 543MP4」を集積しており、これがチップ面積の増大に寄与している。この新採用のクアッドコアGPUは、A5Xのチップ上ではデュアルコア構成の2つの回路に分割され、チップの左右に振り分けて対称的に配置する形でされている。またUBM TechInsightsによれば、このクアッドコアGPUはソニー・コンピュータエンタテインメントの最新携帯ゲーム機「PlayStation Vita」に搭載されているものと同型だという。
UBM TechInsightsのリポートによると、A5Xが搭載するARMコアは従来のA5と同じ1GHz動作のデュアルコア品だが、A5XではDDRインタフェースの集積規模が拡大している他、クアッドコアGPUを取り扱うためにアーキテクチャが拡張されているという。
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