こうしたことが起こり得ることを想定した上で、IoTデバイスの信頼性の高い利用方法があるのかという質問を業界筋に投げかけてみた。信頼できる利用方法が確立されて初めて、IoTデバイスが相互に通信して、生活を向上させることが可能になると筆者は考える。「なぜ、洗濯機がガスグリルに話しかける必要があるのか」について、納得できる説明を得たい。
IHS Technologyでアソシエートディレクタを務めるBill Morelli氏は、メーカー各社から提示されたユースケースとして、以下を挙げている。
Appleは、2014年6月に開催した「Worldwide Developers Conference(WWDC)2014」において、スマートハウスを構築するための機能「HomeKit」を発表した。この機能を使えば、特定の“場面”を想定した設定を行えるという(関連記事:iOSで作るスマートハウス、AppleのIoT戦略)。
この他にも、これまで聞いたことがないような優れたアイデアがあるのかもしれない。しかし、この程度のユースケースで、“素晴らしいIoTの世界”を消費者にアピールすることができるのだろうか。ここ何年もの間、あちこちに出回って再利用されているようなホームオートメーションシステムの古いカタログの内容を、そのまま、まねただけなのではないだろうか。
一方、米国の市場調査会社であるEnvisioneering Groupでリサーチディレクタを務めるRichard Doherty氏は、信頼性のある本来のIoTの利用アイデアに関して、少し違った見方をしているようだ。
Doherty氏の見方は、日常生活を進化させるもので、現在のIoTに対する考え方の進歩をうかがうことができる。ホームオートメーションの実現は、IoTがなくては容易ではないだろう。だが、より重要なのは、IoTがユーザーに安全や安心をもたらしているということだ。
ホームオートメーションにおいて、IoTのもう1つの大きな進化は、スマートフォンで家中の電化製品や電子機器を操作することだろう。SMSによるアラート機能を備えることで、家電や電子機器は以前よりも“おしゃべり”になっている。
だがこれもいい面ばかりではない。IHSのMorelli氏は、多くの人がボイスメールを無視しているように、あまりに大量のアラートが届くと、ユーザーはそれを無視するようになってしまうのではないか、と予想している。
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