IHSの予測によれば、ホームオートメーション向けIoT市場は、今後3〜5年で大きく成長するという。一方で、他の分野向けのIoTは10〜15年後に本格的に伸び始めるとみている。
Morelli氏は、ビルや街中、自動車、インフラにネットワーク機能が実装されるようになれば、IoTはさらに重要になっていくと述べる。例えば、信号機を管理して救急車がより速く走れるようにしたり、スポーツなどの大きなイベントの後で道路が混雑しないように自動車を分散させたり、料金所に停車しなくても支払えるようなシステムを用意したり、といった具合だ。「ただ、こうしたシステムを実現するには、さまざまな機関や民間団体、市民が頭を寄せ合い、規則(規格)などを決めていかねばならないだろう」(Morelli氏)。これは、簡単なことではない。
IoT向け端末間通信における業界の動きを考える際は、一歩引いたところから冷静に見ることが必要だ。
インテルやSamsung Electronicsは2014年7月8日(米国時間)、IoT向け端末の標準化団体「Open Interconnect Consortium(OIC)」を立ち上げた(関連記事:インテルやサムスンなど6社、IoT向け標準化団体「OIC」を設立)。これを聞いて驚いたのは筆者だけではないだろう。OICは明らかに、Qualcomm主導の「AllSeen Alliance」に対抗している。
Morelli氏は、こうした団体に参画しているメンバーがデバイスメーカーであることを指摘している。AT&Tや、総合的なメディア企業であるTime Warnerといったサービス企業は含まれていない。さらに同氏は、「われわれは、IoTに対してGoogleがどのように動くかも把握していない。サーモスタットを手掛けるNest Labsや、家庭用監視カメラを扱うDropcamを買収した(あるいは買収する)ことは知っていても、その真意は分からない。
IoTがエレクトロニクス業界に大きなチャンスをもたらすと主張するのは簡単だ。だが、消費者にIoTの素晴らしさを信頼できるレベルで話すことは難しい。Doherty氏は、「ビジネス、サービス、政府、そして何よりも消費者が、IoTの実現と拡大に向けて一体となる必要がある。それができなければ、大きな失敗が待っているだけだろう」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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