2014年6月に発表されたAmazonの「Fire Phone」。分解すると、サムスン電子の「GALAXY S5」やAppleの「iPhone 5s」に劣らない高性能のチップを搭載していることが分かった。Qualcommが多くのデザインウィンを獲得している。
Amazonは2014年6月に、独自のスマートフォン「Fire Phone」を発表した(Amazonのスマホ「Fire Phone」、消費者にとって魅力は何なのか)。販売価格は649米ドルだが、Teardown.comで行った分解調査の結果、その部品コストは209米ドルであることが分かった。主要なICの大半をQualcommが提供している他、Amazonが独自のディスプレイ技術「Dynamic Perspective」を実現する上で、InvensenseとOmniVisionの両社が重要な役割を担っていることが明らかになっている。
また、Fire Phoneは、技術設計や付加価値などに関して、多くの競合製品と同程度の水準に達していることが分かった。Fire Phoneは、販売価格(およびBOMコスト)の面で、Samsung Electronicsの「GALAXY S5」やAppleの「iPhone 5s」とほぼ互角に渡り合っているといえる。
Amazonは今回、ソフトウェア機能の開発に多額の費用を投じたようだ。その中でも特に、Dynamic Perspectiveディスプレイ機能で使用するソフトウェアに力を入れたようだが、それについては今回のBOMコストの見積もりには含まれていない。Teardown.comでは、高性能スマートフォンを実現し、携帯電話機市場の将来を約束する新しいユーザーエクスペリエンスを提供していく上で不可欠とされる、設計およびチップセットについて詳細な調査を行い、新しいDynamic Perspective機能をサポートするために必要なハードウェアの内部構造を明らかにしていく。
AmazonのFire Phoneは、AT&Tとの間で独占契約を結び(Appleも2007年に同じ戦略を採用)、Amazon.comでの直接販売によってモバイル市場に参入する。Teardown.comの分解チームは、iPhoneの初代機や、その後に続いた他社製品の時と同様に、直ちにFire Phoneの分解を行った。AmazonがフラッグシップモデルとしてFire Phoneを市場投入していく上で、その設計や技術、組み立て、チップセットなどをどのように選択したのかについて、調査を行っている。
ただし、Fire Phoneの分解調査を急ぎ進める前に、Dynamic Perspective機能に関するテストを行う必要があった。同機能については、ディスプレイ上の静止画像で見て確認することができないとされているが、分解チームの取り組みによって、3Dのようなユーザーエクスペリエンスを提供可能なハードウェアの画像を捉えることに成功した。
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