ディスプレイ技術の国際展示会「Touch Taiwan 2014」が台湾で開催された。ディスプレイ市場が今度どうなっていくのか、同展示会で得た情報を基に推測する。
台湾の台北市で、タッチパネルおよび光学フィルムに関する国際展示会「Touch Taiwan 2014」(2014年8月27〜29日)が開催され、数多くのメーカーが参加した。
ディスプレイメーカーは、モバイル市場や自動車市場、住宅市場などの主要なエンドマーケットに関する鋭い観察力を持っている。例えば、タッチスクリーンを搭載したノートPC市場の将来的な規模、携帯電話機とタブレット端末、ノートPCと3通りの使い方が可能な“3-in-1端末”の新興市場についてなど、豊富な見解や予測を提供することが可能だ。
今回のTouch Taiwanにおいて、収集した情報を以下に紹介していきたい。
Innoluxでモバイル製品管理/技術開発センター担当アソシエイトバイスプレジデントを務めるJP Pang氏によると、ディスプレイメーカーにとって、ウェアラブル機器によってもたらされるメリットはそれほど大きくないようだ。同氏は、「ウェアラブル市場はわれわれにとって、センサーハブとして機能する存在だ。情報ハブとなるのは、携帯電話機市場である」と述べている。
一方で、Innoluxのライバル企業であるAU Optronics(AUO)は、Pang氏とは異なる考え方をしているようだ。AUOの社長であるPaul Peng氏は、「ディスプレイ市場はこれまで、“従来品の置き換え”という位置付けで開発が進んできた。現在は、用途そのものが増えたことで、“用途指向型”の開発に変わりつつある」と述べる。同氏はウェアラブル市場について、曲面テレビやPublic Information Display(PID)、2-in-1タイプのノートPCなどと同様に、新たなディスプレイ用途を生み出す重要な市場の1つとみている。
Touch Taiwan 2014では、台湾ディスプレイメーカーが急激な成長を遂げる車載ディスプレイ市場によって恩恵を受けていることが明らかになった。
AUOの担当者によると、同社の2013年における車載ディスプレイの売上高は、30%も増加したという。
現在では、自動車のGPSやダッシュボード、ヘッドアップディスプレイ(HUD)、リアシートエンターテインメントシステムなどにおいてさまざまなディスプレイが搭載され、その数は増える一方だ。
AUOの社長であるPaul Peng氏は、「自動車は将来的に、通信接続用のツールとして機能するようになるだろう。搭載されるディスプレイの数は、5つ前後になるのではないか」と予測する。InnoluxのPang氏は、全般的にはPeng氏の見解に同意するとしながらも、「ディスプレイ数は3つ程度だとみている」と述べる。
ディスプレイの数が増えるという傾向は、自動車の中だけでなく、リビングルームでもみられるようになっている。
AUOのPeng氏は、イギリスの市場調査会社であるOnDevice Researchがワールドカップの開催前に実施した調査の結果を取り上げた。それによると、調査対象者のうち35%は、テレビを見ながら携帯端末を使用している他、20%は、テレビと携帯端末で2つの試合を同時に観戦すると答えたという。
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