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ムーアの法則は5nmに壁、民生用LSIは28nmで様子見をBroadcomのCTOに聞く(1/2 ページ)

ムーアの法則についての見解を数多く述べているBroadcomのCTO、Henry Samueli氏。微細化技術の今後や、IoT市場の動向、同社のベースバンド事業撤退などについて、話を聞いた。

» 2014年12月19日 10時50分 公開
[Rick MerrittEE Times]

 2014年に携帯電話機向けベースバンド事業から撤退すると決断したBroadcom。同社の共同創設者であり、CTOでもあるHenry Samueli氏は、プロセス技術に対する知見が深いことでも知られる。その同氏にインタビューする機会を得た。

ムーアの法則は5nmが壁に

EE Times FinFETプロセスの見通しは。

Henry Samueli氏 FinFET技術は、いくつかのファウンドリで成熟しつつある。当社は現在、16nmプロセスを適用したFinFETの開発を進めていて、2015年にはいくつかのチップをテープアウトできそうだ。

 われわれは、TSMCと23年にわたり提携関係がある。そのため、TSMCは当社にとっても重要なパートナーだが、もちろん、16nm/14nmでの製造が可能ならば、他のファウンドリとも提携したいと考えている。

photo BroadcomのHenry Samueli氏

 ムーアの法則は続いている。当社は2015年に10nm FinFETのテストチップを製造するかもしれない。さらにその先の7nm、5nmプロセスの話も出ている。7nmについては大いに可能性があるが、5nmについては、まだ分からない。つまり、今後もあと2〜3世代は進む余地があるということだ。5nm以降についてはかなり懐疑的な見方が多い。5nmの壁を超えるのは相当難しくなるだろう。

 われわれは、コスト面の理由から、最先端のプロセスを適用すべきチップと、従来のプロセスを適用すべきチップを、これまで以上に考えなくてはならない。ネットワークスイッチやマルチコアプロセッサ、メモリなどは16nmや10nmにできるだけ早く進んだ方がいいだろう。こうしたチップはコストが高くても対応できるからだ。だが、民生機器向けのチップは、しばらくの間は40nmと28nmにとどまるべきだ。

新興企業が少ない

EE Times 最近の半導体業界において、新興企業の立ち上がりはどうか。

Samueli氏 遅くなっていると思う。過去数年間で劇的に遅くなっていることは確かだ。新しくチップを開発するコストは数千万米ドルから数億米ドルに上るようになってしまったからだろう。

 一方で、チップ関連の新興企業が多く存在する地域もある。イスラエルが良い例だ。最近のイスラエルには、企業を立ち上げやすいという素晴らしい文化がある。

 現在、チップ関連の新興企業は平均して少ないため、当社の買収欲が容易に満たされることはない。当社はこれまで数多くの企業を買収してきたが、そのペースは確実に遅くなってきている。ぜひ優れた人材と技術を見つけたい。

EE Times 最近では、チップ企業にとって優れたエンジニアを雇うことがより難しくなっている。特にシリコンバレーでは、AmazonやFacebook、Googleなどに魅力を感じる若者も多い。

Samueli氏 優れた人材を得るのは、いつでも難しい。それはこの20年変わっていないし、そもそもシリコンバレーは近年最も活気のあるエリアの一つだから当然の傾向だろう。

 当社は世界中に75の研究開発拠点を持っているので、必要な人材を見つけることが出来る。特定の市場ではさらに競争が激しいが、半導体業界の成長率は1桁台前半くらいにとどまっており、かつてのような速さでは成長していない。そのため、新たな雇用機会の数は横ばい状態である。従って、特に人材を必要とするソフトウェアの周辺機器産業で何度も争っている。

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