EE Times 最近のBroadcomの主要な市場における大きな原動力は何か。
Samueli氏 例えば、ブロードバンドアクセスでは、さまざまなことが起きている。ケーブル、DSL、パッシブ光ネットワーク(PON)といったあらゆるものが全て大規模にアップグレードされているからだ。ケーブルではDOCSIS 3.1が、DSLではG.fastなど、高速通信を実現する規格が登場した。PONは10Gビット/秒(Gbps)の速度へと移行している。ブロードバンドアクセスは大規模なアップグレードサイクルにあり、それは非常に刺激的だ。
家電では4Kや、HEVCが本格的に普及するだろう。2015年の「International CES」では、多くの4Kテレビが見られることだろう。
ネットワーキングでは、クラウドとデータセンターの成長により高性能なスイッチングが必要になる。スイッチとバックプレーン向けに、25Gbps、50Gbps、100Gbpsのイーサネット規格が新たに出現している。また、ソフトウェアで定義されたネットワーキングの機会もある。
全ての分野でさまざまなことが起きている。要するに、ネットワークを通じてさらに多くのコンテンツを動作させるということだ。
EE Times モノのインターネット(IoT)や、そこで起きているプラットフォームをめぐる競争についてはどう見ているか。
Samueli氏 IoTは、まだ黎明(れいめい)期にある。第1の問題はハードウェアレベルではなく、ソフトウェアおよびプロトコルレベルにあり、普遍的かつ相互運用可能なプラットフォームを作り出すことだ。多くの新しい産業と同様に、IoTでも独自の規格が混在しつつあり、それが市場の成長を抑えていることが問題である。
規格の統一には、数年はかかるだろう。(同じIoTでも)複数の領域に分かれていくことになると思うが、それは産業が成長する上で自然なことだ。当社はAppleやGoogleだけではなくあらゆるエコシステムに対応しなくてはならないが、市場が軌道に乗るにはより高いレベルの相互運用性が必要である。
Broadcomは設立以来、「全てをつなぐ」ことを目指してきた。現在の状況はわれわれの予想をはるかに超えている。
EE Times モバイルベースバンド市場からの撤退によって学んだことは何か。
Samueli氏 未来を予測するのは難しい。多くの事が本当にあっという間に起きた。ベースバンド機器やその他のモバイル用半導体の価格は、ここ2年間で急激に下落した。利益もここ2〜3年で急落したため、撤退を余儀なくされた。研究開発のニーズが拡大していた一方で利益は減少しており、成功を導くことができる“方程式”ではなかった。これまでも、そして現在も多くの競合先があるが、経済面での急速な減退は予測していなかったのだ。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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