NECは、SDN(Software-Defined Networking)向けに、光や無線など異なる種類のネットワークを組み合わせて統合できるソフトウェアを開発した。サービスプロバイダや通信事業者が、さまざまなニーズに合わせた独自ネットワークを構築しやすくなるという。
NECは2015年2月20日、サービスプロバイダや通信事業者によるSDN(Software-Defined Networking)の利用に向けて、光や無線など複数の異なるネットワークを統合・管理することで、効率的に広域ネットワークを構築できるソフトウェア技術を開発したと発表した。SDNは、ソフトウェアでネットワークを制御するという概念である。NECは、今回発表した技術を「世界初」だとしている。
今回開発した技術は、種類の異なる複数のネットワークの構成情報を統一し、新しい仮想ネットワークを再構築するというもの。光や無線などのネットワークには、機器の構成や通信の状態を表す際に、各ネットワークに固有の表現(規格)がある。広域で複数のネットワークを組み合わせることは、規格の違いが障害となって難しかった。
NECの新技術は、ネットワークの構成要素を「ノード」「ポート」「リンク」「フロー」「パケット」の5つに分類し、それを「集約」「統合」「分割」することで、仮想ネットワークを新たに構築する。
同ソフトウェア技術を光や無線のネットワークに適用することで、各機器の接続形態(トポロジ情報)および通信経路(パス情報)を統合し、両ネットワークにまたがる接続を確認することが可能になるという。
将来的には、これらの技術を適用したSDNの制御ソフトウェアを通じて、
といったことが期待されるという。
NECは、「究極の目標は、複数のネットワークを組み合わせることで、通信の速度や安定性など、個別のニーズに合わせた独自のネットワークを提供できるようにすることだ」と説明する。
NECは、同技術の開発を、総務省委託研究「ネットワーク仮想化技術の研究開発」およびO3プロジェクトの一環として行った。O3プロジェクトとは、SDNを広域ネットワークに適用するための研究開発である。「総務省の委託プロジェクトは2015年度末まで続くので、引き続き開発を行っていく」(NEC)。
NECによると、現時点では、今回のソフトウェアを使った実証実験の予定はないという。ただ、同技術はオープンソースソフトウェア(OSS)として既に公開していて、NECは「さまざまなサービスへの展開を期待している」と述べている。
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