ARMにとって「IEDM」は非常に重要だ。この会議で議論されるトランジスタ技術が同社のCPUアーキテクチャの行方を左右するからである。ARMは「IEDM 2014」で、CPU設計とデバイス・プロセス技術の関わりを解説する講義を行った。今回から、その内容を複数回にわたってお届けする。
半導体のデバイス技術とプロセス技術に関する国際会議「IEDM(International Electron Devices Meeting)」では、カンファレンスの前日に「ショートコース(Short Course)」と呼ぶ1日間のセミナーを開催している。「IEDM 2014」(2014年12月15〜17日、米国サンフランシスコ)では、「7nm CMOS技術の課題(Challenges of 7nm CMOS Technologies)」と題したショートコースが開催され、1日間で5つの講義が実施された。
5つの講義の中で最も興味深かったのは、英国ARM社の設計者による、回路設計に関する解説だった。「Circuit Application Requirements(回路に応用するための要望)」、またのタイトルを「CPU Design and IEDM(CPU設計とIEDM)」とわざと付けてくれたこの講演は、CPU設計とデバイス・プロセス技術がどのように関わっているかを、積極的に分かりやすく説明するものだった。
CPUの設計者がデバイス技術者にする質問は、常に同じだという。それは、(1)設計ノードの進化によってCPUはどのくらい速くなるのか、(2)消費電力はどのくらいか、(3)シリコンダイはどのくらいの大きさになるのか、(4)コストはどのくらいか、といったものである。CPUを載せるシステムによって与えられる条件は違ってくるものの、質問の基本は変わらない。
これらの質問に対するデバイス側の回答は下記のようなものだという。(1)ITRSロードマップのCV/Iを読め、(2)トランジスタの電力消費はCV2F(容量×電圧の2乗×動作周波数)だ、(3)ゲートピッチとメタルピッチの積で決まる、(4)前世代の設計ノードに比べて半分になる、である。しかし残念なことに、これらの回答はCPU設計者にとっては回答の意味を成していない。
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