フラッシュメモリのデータを所望の時間が経過すれば、自動的に壊れる技術が開発された。
不揮発メモリの記憶保持時間の長さが競われる中で、意図的にデータを壊してしまう技術が登場した。
中央大学理工学部教授の竹内健氏のグループは2015年6月18日、データの寿命をあらかじめ設定することで、指定した時点に自動的にデータが壊れるメモリシステムを開発した。2015年6月15〜19日に京都で開催されている国際会議「IEEE Symposium on VLSI Circuits」で発表した。
開発したメモリシステム「Privacy-protection Solid-State Storage(PP-SSS)System」は、「忘れられる(削除されるべき)権利」を実現できるよう、フラッシュメモリのデータ保持寿命を設定できるようにする技術だ。
忘れられる権利とは、インターネット上に書き込まれた誤った情報やプライバシー情報により、将来にわたって不利益を被る場合に、情報データを削除するなどし“忘れられる”ことでプライバシー保護するための権利。近年になって登場した新しい考え方で、「知る権利」や「表現の自由」と相反する部分もあるため、データの作成者や内容に応じた対応が必要になっている。
一部SNSサービスでは、書き込んだデータのリンクを一定期間後に外すことでデータを閲覧できなくする「忘れられる」ための機能を提供されている。だが、リンクを外した後もデータがメモリの中に存在する限り、読み出される可能性があり、完全な対策ではなかった。
そこで、竹内氏のグループは、一定期間後にメモリのデータ自体を壊す(消去する)技術として、PP-SSS Systemを開発した。
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