台湾政府が、中国での半導体投資について規制を緩和する見込みだという。台湾の半導体メーカーは、「成長が速い中国市場に投資できない状態では、世界の半導体メーカーから後れを取る」と、以前から懸念を表明していた。
台湾政府は間もなく、中国での半導体投資に関する規制を緩和する見込みだ。もし緩和されれば、台湾の半導体メーカーにとっては、中国での半導体ビジネスを拡大できる好機がもたらされることになる。
規制緩和案では、台湾の半導体メーカーに対し、中国で新たに建設する製造工場(12インチウエハーライン)の独占的所有権を与えるとされている。一部の台湾企業は、自社の特許技術を守るにはそのような独占的所有権が必須であると考えている。
台湾政府は、雇用や技術が中国という政敵に流出することを懸念し、中国における投資を制限してきた。一方で、世界の半導体生産の約5分の1を占める台湾の半導体メーカーは異なる見方を持ってきた。中国の巨大な半導体市場に進出する必要性を指摘してきたのだ。中国は今後10年間、世界半導体市場の成長をリードし続けるとみられている。
世界最大の半導体ファウンドリであるTSMCは、2015年に台湾政府に対し、中国での半導体投資に関する規制を緩和するよう要請している*)。
*)関連記事:M&Aの高まりに危機感を覚える台湾メーカー
TSMCのコーポレートコミュニケーション部門でバイスプレジデントを務めるElizabeth Sun氏は、電話でのインタビューの中で、「もし当社が本当に中国市場に参入するとしたら、完全な所有権が欲しい。100%の所有権があれば、知的財産(IP)や企業秘密を守れるからだ」と語った。
AppleやXilinxなど、幅広い多国籍エレクトロニクス企業がTSMCに半導体の製造を委託している。TSMCは、台湾政府からの新たな規制を待ち望んでいると述べた。世界で最も成長が速い中国半導体市場で顧客との距離を、より縮められるとして、TSMCは中国での生産に関心を持っているという。
台湾・経済部傘下の投資委員会で広報を担当するChu Ping氏は、「現在われわれは規制を見直しており、近日中に議会にドラフトを提出して承認を求める予定だ」と述べた。「早ければ、2015年8月末にも承認される可能性がある」(同氏)。
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