半導体業界では、世界的にM&Aが進んでいる。この動きに取り残されるのではないか、と危機感を覚えているのが台湾メーカーだ。
半導体業界では、世界的にM&Aの流れが高まっている。これに対し、台湾の半導体メーカーが、こうした動きの中で自分たちが取り残されてしまうではないかと危機感を覚えているという。
2015年に入ってから、NXP SemiconductorsによるFreescale Semiconductorの買収、Avago TechnologiesによるBroadcomの買収、IntelによるAlteraの買収など、大型買収案件が相次いでいる。つい最近も、Tsinghua UnigroupがMicron Technologyに買収を持ちかけていると報道されている*)。
*)関連記事:中国半導体メーカー、マイクロンに230億ドルで買収案
台湾半導体メーカーの複数の幹部は、こうした動きについて、「半導体業界が成熟期に入り、大手メーカーが生き残りや存続の方法を模索していることを示している」と分析している。台湾は中国への投資を規制しているが、台湾の半導体メーカーは、この世界的なM&Aの流れから取り残されないために、政府に対して規制緩和を求めている。
台湾MediaTekでチェアマンを務めるM.K. Tsai氏は、2015年6月12日(現地時間)に開催した株主総会で、「IntelやNXP、Qualcommなど、台湾の半導体メーカーよりも高度な技術を有する半導体企業が中国への投資を続ける中、規制が緩和されなければ、台湾の半導体企業は取り残されてしまうかもしれない」との懸念を示した。
台湾政府は、政敵に仕事や技術が奪われることを懸念して、台湾の半導体メーカーによる中国への投資を制限している。台湾政府は国内産業の保護に努めてきたが、この取り組みが裏目に出る可能性が出てきた。
台北の投資銀行で半導体アナリストを務めるMatt Cleary氏は、「台湾の規制は、台湾の安定を保証する効力がなくなっているだけでなく、台湾企業の競争力を失わせてもいる」と指摘する。台湾政府は半導体技術と投資をコントロールしようとしてきたが、台湾の半導体エンジニアが報酬のよい中国のライバル企業に流れるのを食い止めることはできなかった。
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