情報通信研究機構(NICT)は、住友電工及びRAMと共同で、光ファイバの伝送容量が最大2.15ペタビット/秒と、従来の約2倍となる光信号の送受信実験に成功した。同種コア型マルチコアファイバと高精度光コム光源を用いた。
情報通信研究機構(NICT)は2015年10月、住友電気工業(住友電工)及びRAM Photonics(RAM)と共同で、光ファイバの伝送容量として最大2.15ペタビット/秒を実現する送受信実験に成功したことを発表した。「これまでの世界記録を約2倍更新した」と主張する。
今回の実験に用いた光伝送システムは、住友電工が設計/製造した「シングルモード22コアファイバ」と、住友電工の高非線形ファイバを使用してRAMが設計/製造した「高精度光コム光源」を用いてシステムを構成した。
シングルモードの22コアファイバは、長距離伝送に優れている。その上、同種コア型のためコア間の信号品質が均一であり、空間符号化や自己ホモダイン伝送などの高度な伝送方式にも対応することが可能である。また、各コアはシングルモードコアのため、モード多重伝送で必須となるMIMO(Multi Input Multi Output)デジタル信号処理回路が不要となり、機器コストや電力消費を節減することが可能となる。今後の課題としてNICTは、外形寸法の小型化、長尺化への対応、信号干渉のさらなる低減などを挙げる。
高精度光コム光源は、6.25GHzから400GHzの範囲で選択可能な周波数間隔を持つ数百の高コヒーレント光搬送波を生成することができる。今回の実験では25GHz間隔で399波長の光搬送波を一括生成した。波長多重伝送システムで一般的に用いられているレーザ光源群に比べ、消費電力は1/10と小さく、10倍以上の相互コヒーレンスと周波数安定性を備えているため、高密度な信号伝送が可能となる。
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