ルネサス エレクトロニクスは2015年12月10日、プライベート展「Renesas DevCon Japan 2015」を東京都内で開催した。本記事では、基調講演の内容を紹介する。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2015年12月10日、「BIG IDEAS FOR EVERY SPACE.〜ルネサスの最新技術をあらゆる空間に〜」をテーマに、プライベート展「Renesas DevCon Japan 2015」を東京都内で開催した。本記事は、同社の幹部による基調講演に関して、その概要を紹介する。
基調講演ではまず、同社の執行役員常務兼CSMO(Chief Sales Marketing Officer)の高橋恒雄氏が登壇し、IoTに対する期待について語った。IoTの普及によって、ネットワークに接続されるデバイスは200億個から320億個、組み込みシステムからのデータは全体の2%から10%に増えるといわれている。2025年において、IoTから生み出される価値は11兆1000億米ドルともいわれ、その期待は大きい。
しかし、ガートナー・リサーチの調査「先進テクノロジーのハイプサイクル」では、IoTは2015年に「過度な期待」の時期を迎えたとしている。高橋氏は、「IoTはまだ市場ができておらず、期待だけが先行している状態だ。ポジティブに考えると、当社がビジネスモデルを創ることができると考えている」と語った。
そこで、ルネサスがIoT向けに注力するのは、マイコンと検証済みソフトウェア、開発環境一式を提供する「Renesas Synergyプラットフォーム」(以下、Synergy)である。2015年6月に欧米、ASEANで発表後、2015年12月8日に日本国内での提供開始*)。同社の執行役員兼グローバルセールスマーケティング本部の副本部長である川嶋学氏は、「Synergyを活用すると、高価な開発ツールを買わなくてもIoTの開発ができるようになる。今までになかった新しいビジネスが生まれてくるだろう」とした。
*)関連記事:ルネサス、「Synergy」の国内提供をスタート
Synergyで提供される専用のマイコンはローエンドからハイエンドまでの4シリーズある。ARMの「Cortex-M0+」を搭載した「S1」、「Cortex-M4」を搭載した「S3」「S5」「S7」である。どのシリーズも同一のソフトウェアが動作するスケーラブルな仕様となっている。「S3A7」、「S7G2」のサンプル出荷が既に開始している。
2015年12月8日からは、Synergyユーザーのための登録制クラウドサービス「Synergy ギャラリー」を開始。ユーザーがアカウント登録をすることで、SSP(Synergy Software Package)や開発ツールのダウンロード、チャットを通した技術サポートが受けられるという。本格的な評価/開発用途のDK(Development Kit)、初期評価用途のSK(Starter Kit)の3種類の開発環境の販売も開始したとしている。
Synergyは2015年12月8日に国内での提供を開始後、具体的な問い合わせが数十社があり、検証済みソフトウェアのパートナー候補が約10社に増えているとした。
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