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ルネサス、「Synergy」の国内提供をスタート成長に向けた切り札

ルネサス エレクトロニクスは2015年12月8日、IoT(モノのインターネット)/組み込み機器向けにMCUと検証済みソフトウェア、開発環境一式を提供する「Renesas Synergyプラットフォーム」の提供を日本国内でも開始したと発表した。

» 2015年12月08日 14時00分 公開
[竹本達哉EE Times Japan]

 ルネサス エレクトロニクスは2015年12月8日、IoT(モノのインターネット)/組み込み機器向けにMCUと検証済みソフトウェア、開発環境一式を提供する「Renesas Synergyプラットフォーム」の提供を日本国内でも開始したと発表した。

「Renesas Synergyプラットフォーム」の構成イメージ 出典:ルネサス エレクトロニクス

 Renesas Synergyプラットフォームは、動作が保証されたOS/ファームウェアなどの「ソフトウェアパッケージ」「マイコン」「開発環境」、同プラットフォームを利用した開発方法などを記載した文書などの「ソリューション」、ソフトウェアや開発環境がダウンロードできるクラウド環境の「ギャラリー」で構成。ソフトウェアパッケージで提供されるソフトウェアAPIの上位層をユーザーが開発するだけで、IoT機器や組み込み機器を開発できる仕組みとなっている。

「Renesas Synergyプラットフォーム」専用マイコンの概要 出典:ルネサス エレクトロニクス

 Synergy専用マイコンとしては、ARMの「Cortex-M0+」をベースにした「S1」と、「Cortex-M4」コアを搭載した「S3」「S5」「S7」の4種類のシリーズがあり、性能/フラッシュ内蔵容量別にハードウェアを選択できる。一方で、ソフトウェアAPIなどは全ての専用マイコンで共通になっており、スケーラブルな機器開発も実施できる。

 Renesas Synergyプラットフォームは先行して、米国での提供を開始し、今回、日本での提供がスタート。専用マイコンとしては、ネット接続機能を持つヒューマンマシンインタフェースや産業機器、家電など電力効率の高い制御を求める用途向けの「S7シリーズ S7G2」と「S3シリーズ S3A7」の2品種のサンプル出荷を同日、開始。「Renesas Synergy ギャラリー」と呼ぶクラウド環境の日本版もオープンし、ソフトウェアと開発環境の提供もスタートさせた。

 提供が始まったソフトウェアは、リアルタイムOS、IPv4/IPv6 TCP/IPスタック、USBプロトコルストック、MS-DOSファイルシステム、GUIライブラリなど。他にも特定アプリケーション向けのアドオンソフトウェアも順次提供する予定。アドオンソフトウェアは、ルネサス以外にもユビキタス、図研エルミック、ACCESS、グレープシステムなどのパートナー企業が開発し、ギャラリーで提供される見込みだ。

 その他、開発環境として評価ボードなどの販売もスタートさせている。

販売を開始したマイコン「S7G2」を搭載したStarter Kits「SK-S7G2」(左)と、「Renesas Synergyソリューション」として、「S7G2」を使用したHMI向け評価環境「PE-HMI1」(右)

 ルネサスは、通信機能、セキュリティ対策が不可欠なIoTの普及により、機器開発の複雑さが増すと判断。これまで以上に、ユーザー側での機器開発負担を軽減する製品提供を掲げ、ソフトウェアの動作までを保証した「Synergyプラットフォーム」を開発。構造改革に一定のメドを付け、売り上げ拡大が課題となっているルネサスにとって、Synergyプラットフォームは、成長戦略の中核的製品の1つと目されている。

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