電気自動車の設計を手掛ける米国のベンチャー企業Faraday Futureが、「2016 International CES(CES 2016)」でコンセプトカー「FFZero1」を披露した。注目すべきは、同社の車両プラットフォーム「VPA(Variable Platform Architecture)」だ。
Faraday Future(FF)が、米国ラスベガスで開催された「2016 International CES(CES 2016)」(2016年1月6〜9日)に初出展した。同社の使命は、「より高度に洗練されたコネクテッド電気自動車の実現に向け、その設計開発をロサンゼルスで、製造をノースラスベガスにおいて行うこと」だという。
FFのシニアバイスプレジデントであり、製品開発担当責任者を務めるNick Sampson氏は、「当社は自動車メーカーではなく、技術メーカーである」と主張した上で、「当社は、素晴らしい開発チームと斬新なビジョン、アライアンスをベースに、計画の実現に向けて取り組んでいく」と述べる。さらに重要なのが、「FFは、Tesla Motorsよりも圧倒的に速いペースで開発を進めることが可能だ」と明言したという点だ。
FFは、CES 2016の開催直前となる2016年1月4日(米国時間)、ラスベガスで同社のコンセプトカー「FFZero1」を発表した。インターネット接続が可能な、1000hp(馬力)の電気自動車である。そのお披露目会場に入場するのは、極めて難しかったのではないだろうか。そもそも、会場を見つけ出すことさえ容易ではなかった。というのも、FFは自社のWebサイト上で、2015年末から今回の発表イベントまでをカウントダウンしてみせていたが、その会場の場所については明かしていなかったからだ。
FFZero1は見たところ、ワンシートのレースカーである。未来的でありながら、レトロな雰囲気も醸し出していて、クラシックカーを思い起こさせる。
IHS Automotiveのシニアアナリストであり、Infotainment & HMI部門担当マネジャーを務めるMark C. Boyadjis氏は、「FFZero1はコンセプトカーであるため、実際に製造されることはまずないだろう。FFが数年後に発表するであろう第1弾の製品も、FFZero1とは似ても似つかないものになると思われる」との見解を示している。
それでもFFZero1は、ファンやマニア、技術専門家などを引き付け、来場者でにぎわうCESにふさわしい自動車だと見受けられた。
最も重要なのが、FFZero1は今回のCESで来場者の関心を引き付ける要素であるという点だ。イギリスの映画監督Alfred Hitchcock(アルフレッド・ヒッチコック)氏が言うところの「マクガフィン(McGuffin=聴衆の注意を引き付けるために話の展開を後押しする重要な要素)」だったのである。
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