部分画像検索を高速に実行することを可能にした要因は2つあるという。1つ目は、検索に必要なフローのうち、特徴量抽出とマッチング処理部分をFPGAに実装したことだ。「FPGAはCPUやGPUに比べて、演算器や並列度を柔軟に構成できるため、それぞれの処理を高並列/高密度に実装できた」(富士通研究所)と語る。特徴量抽出は32並列、マッチングは384並列実装し、高速な部分画像検索を実現している。
2つ目は、処理のスケジューリングの最適化を行ったことだ。富士通研究所は今回、データの先読みを行いながら、状況に応じて処理順序の入れ替えを行い、読み出したデータが無駄にならないように制御するスケジューリング技術を新たに開発。これにより、高い処理性能を実現したという。富士通研究所は、「同技術は、画像の輝度値の濃淡情報から似ているかどうかを判断するため、のっぺりしているような画像では、画像の一致がなくても、似ていると判断してしまう可能性がある」と語る。
FPGAの実装とスケジューリングの最適化の概要。CPUとFPGAは汎用製品だが、「マッチングのアルゴリズムやFPGAの構成に当社のノウハウが詰まっている」とした (クリックで拡大) 出典:富士通研究所富士通研究所は今後、高速画像検索IPを利用した全体的なシステムの開発を進め、2016年度中に実用化を目指すとしている。価格は非公開としているが、多くのサーバを導入するより、1台で多くの処理が可能となるため、総コストと省スペース化を考えると安くなるだろうとした。また、「今後は動画や音声といったさまざまなデータに対しても快適に扱えるような機能拡充を進めていく」(富士通研究所)と語った。
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