羽田空港で、最先端のユニバーサルデザインを用いた実証実験が始まる。年々増える外国人観光客など、空港利用客に“最高のおもてなし”を実現すべく、パナソニック独自の「光ID技術」やNTTの「音声処理技術」といった最新技術を駆使している。
日本の“空の玄関口”として順調に拡大を続ける羽田空港。2014年度の旅客数は約7400万人に上り、そのうち35%が外国人となっている*)。年々増加傾向にある外国人観光客を含め、空港の利用者層は多様化していて、案内システムの多言語化や、高齢者や、目や耳が不自由な人でも使いやすい施設の整備など、誰でも使いやすいユニバーサルデザインを駆使した施設作りが求められている。
*)参考:羽田空港の運営を手掛ける日本空港ビルデングの2015年3月期決算資料
羽田空港の国際線旅客ターミナル(以下、国際線ターミナル)は、建設時から、空港内設備においてユニバーサルデザインの実現に積極的に取り組んできた。2010年の開業以降も、何度も改良を重ねてきたという。国際線ターミナルの運営事業を手掛ける東京国際空港ターミナル(以下、TIAT:Tokyo International Air Terminal Corporation)の社長である土井勝二氏は、「羽田空港の国際線ターミナルは、最先端のユニバーサルデザインを用いた施設だと自負している」と強調した。
その羽田空港のユニバーサルデザインが、さらに高度化される。
TIATと、羽田空港の運営を手掛ける日本空港ビルデング、NTT、パナソニックの4社は2015年12月3日、最先端のICT(情報通信技術)を用いたユニバーサルデザインの実証実験を、国際線および国内線の両旅客ターミナルで開始すると発表した。期間は同年12月から2016年3月までを予定している。
NTTは、画像解析や音声処理技術を使った案内システムと、ビッグデータ解析技術を使った人流誘導を提供する。
案内システムは、空港内の案内版にスマートフォンやタブレット端末をかざすと、その案内版にあらかじめひも付けられている情報が端末に表示されるというもの。モバイル端末のカメラで案内板を映すと、その画像から「どの案内板なのか」を判別し、クラウドやローカルサーバに保存されている、ひも付けられた情報を引き出して表示する。
実証実験では、各フロアの約20個の案内板に、同システムを対応させる予定だとしている。羽田空港で無料で利用できる無線LAN「HANEDA-FREE-WIFI」と連携させて使用してもらい、専用アプリも、アプリストアではなく、HANEDA-FREE-WIFIの登録画面などからダウンロードできるようにするという。ただ、現時点では、どの案内板に同システムが対応しているのかが、見た目だけでは判断できずに分かりにくい。案内板にスマートフォンのアイコンを付けるなど、何らかの工夫が必要だ。
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