NTT、フジクラ、北海道大学の3者は、ハイビジョン映画数千本を1秒で転送できる伝送容量を実現する高密度の光ファイバーを開発した。
NTT、フジクラ、北海道大学の3者は2016年5月16日、従来の光ファイバーと比べ100倍以上の伝送容量を可能にする高密度の光ファイバーを開発したと発表した。
開発した高密度光ファイバーは、ガラス部分の直径を250μm以下と細く制限。既存の陸上光伝送路と同等の半径15〜30mmの曲がりを付与しても、20年以上にわたり使用可能な実用に耐えうる信頼性を確保した。
その上で、NTTと北大は、250μm以下の光ファイバー直径で100以上のチャンネルを多重化するため、3種類および、6種類の光(モード)を伝搬可能な光の通り道(コア)の屈折率分布を最適化。最適化されたコア構造を用いて、コア間の光信号の干渉を十分に抑圧可能なさまざまなコア配置について検討を実施した。
その結果、6モードを導波可能なコアを蜂の巣状に19個配列することで、250μm未満の光ファイバー直径に「世界最大」(NTT)という「6モード×19コア=114チャンネル」を多重できることを明らかにした。NTTでは、「従来の光ファイバー(1モード/1コア)の60倍以上に相当する世界最高の密度」と評している。
フジクラは、この光ファイバーを長さ8.85kmで作製し、NTTが特性評価を実施。全114チャンネルの波長1550nmにおける伝送損失は0.24dB/km未満となり、「これまでに報告されている6モードを用いたマルチコア光ファイバーの中でも最小の伝送損失を実現した」(NTT)。各チャンネル間における伝送損失の偏差は0.03dB/km以下。複数のモードを同時に用いた光伝送で重要になるモード間伝搬速度差は0.33ナノ秒/km未満。均一性の高い高密度光ファイバーであることを確認した。
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