2016年3月、NTTドコモなど4社がコミュニケーションパートナー「ここくま」を発表した。ここくまとは、離れて暮らす家族と連絡が取れる“くまのぬいぐるみ”の形をしたロボットだ。4社のうち、開発マネジメントを担当したのが半導体商社のバイテックグローバルエレクトロニクスである。なぜ、同社がくまのぬいぐるみロボットの開発に携わったのか、鈴木裕二氏と西晃彦氏に話を聞いた。
10年愛されるコミュニケーションロボットを――。
2016年3月、NTTドコモなど4社がコミュニケーションパートナー「ここくま」を発表した。ここくまとは、離れて暮らす家族と連絡が取れる“くまのぬいぐるみ”の形をしたロボットだ。LTE対応通信モジュールを内蔵しており、2つのボタンを押すだけで音声メッセージの送受信ができる。人感センサーも付いているため、人が近づくと天気や季節の話題を話しかけることが可能。離れて暮らす家族は、送ったメッセージの再生有無を確認できるため、見守り用途としても活用することができるという。
開発に携わった4社のうち、企画・マーケティングを行ったのがNTTドコモ。生産販売を行うのがおもちゃメーカーのイワヤ、モジュールやアプリなどのソフトウェア開発を行うのが台湾のスタートアップ企業MOOREdoll(ムーアドール)としている。
そして、開発マネジメントやユーザーリサーチサポートを行ったのが半導体商社のバイテックグローバルエレクトロニクス(以下、バイテック)である。半導体商社である同社が、なぜここくまの開発マネジメントを行ったか、そもそも開発マネジメントとは何を行っているのか、発表会で詳細を把握することができなかった。
そこで、ここくまの開発に携わった同社の鈴木裕二氏と西晃彦氏に話を聞いた。鈴木氏はIoTチームの開発マネジャー、西氏はアプリチームのリーダーを務めている。
半導体商社の既存のビジネスモデルは、半導体製品をセットメーカーに単体で販売するのが中心だ。しかし、鈴木氏は「既存のビジネスだけでは景気に左右され、ポジティブな話が少ないの現状。これからは付加価値を付けなければいけない」と語る。既存ビジネスのノウハウを生かして新しいビジネススキームや協業ビジネスを構築する、ビジネスコーディネーターとしての方向性を目指すこととなった。
4社が共同開発が始めたのは、NTTドコモとイワヤがシニア層に向けたコミュニケーションロボットを企画する中で、「東京おもちゃーショー」に展示していたバイテックとムーアドールに出会ったことがきっかけだった。開発マネジメントに関する類似案件は従来もあったが、ここくまのように企画から入り込むケースは珍しかったという。
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