オムロンは、「CEATEC JAPAN 2016」(2016年10月4〜7日/千葉市幕張メッセ)で、車載環境下でも非接触で脈拍を測定できるセンサーと、人工知能を搭載した車載向けセンサーを展示した。
オムロンは、2016年10月4〜7日に千葉市幕張メッセで開催されている「CEATEC JAPAN 2016」で、自動運転時代を見据えたセンシング技術の展示を行っている。
1つ目は、オムロン オートモーティブエレクトロニクスが同年9月29日に発表した、車載環境下においても高精度に脈拍を測定できるセンサーのプロトタイプ製品である。同センサーは、ドライバーの体表面に電波を送信し、当たって戻ってきた電波を受信することで、血管が脈を打つときに体表面上で発生する約100μm以下の変異を検出。この信号を独自のアルゴリズムにより脈拍信号として抽出して、脈拍値として出力する。
担当者は、「当社独自の画像センシング技術“OKAO Vision”と、ヘルスケア分野で培った信号処理アルゴリズムを組み合わせることで、開発に成功できた」と語る。
現在は、自動車のシート内やドアパネルへの搭載を想定しており、複数のセンシング技術を組み合わせることで、運転手の異常状態や異常発生リスクをより高精度に検出するシステムの商品化を早期に目指す。「自動車メーカーやOEMの需要を把握しながら、血圧や脳波といった人の状態を判断するセンサーを開発していく予定」(担当者)とした。
展示では、同社が2016年6月に発表した人工知能(AI)を搭載した車載向けセンサーも、デモを通じて紹介されている。運転手のさまざまな行動や状態をセンシングし、安全運転に適した状態かをリアルタイムにレベル分けして判定することができる。
同センサーは、同社が20年間蓄積した顔画像センシング技術と、連続した時間的変化を伴う事象の認識を可能にするAI技術「時系列ディープラーニング」を融合した「ドライバー運転集中度センシング技術」で実現したという。同社によると、時系列ディープラーニングは、連続したデータを扱うために大規模なサーバシステムへの接続が必要だった。
同技術では、カメラから取得したデータを、「高解像度の顔映像」と「おおまかな動作」の映像に分離した上で、2つの映像を効率的に組み合わせることで画像処理量を低減。これにより、手のひらサイズのカメラ1台で判定でき、車載の組み込み環境でもリアルタイムに実行可能となっている。つまり、ネットワークへの接続を必要としないため、現行の自動車への後付けや、低価格帯の自動車への搭載も可能になるとした。
担当者は、「自動運転時代に、運転手の状態を把握する必要はないと思う人もいるかもしれない。しかし、普及の段階では、自動から手動に切り替えなければいけないケースも多く出てくる。その時、運転できる状態かを事前に判断する必要がある」と語る。
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