ルネサス エレクトロニクスは2017年2月8日、2016年度業績と2017年度の事業見通しに関して説明を行い、今後の売り上げ拡大を伴う事業成長に向けて自信を示した。
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は2017年2月8日、2016年12月期(2016年4〜12月)通期決算および、2017年12月期(2017年1〜12月)事業方針を発表した。
ルネサスは今期から決算期末を3月末から12月末に変更している。そのため、2016年12月期通期業績は9カ月間となっている。ただ、過去業績との比較を行いやすくするため、今回の決算説明は、2016年1〜12月の暦年ベースの業績数値を基に行った。
2016年1〜12月の売上高は6388億円で前年(2015年1〜12月)比9.7%減、うち半導体売上高は6875億円で同9.8%減。同社執行役員常務兼CFO(最高財務責任者)の柴田英利氏は「円高、(熊本工場が被災した)地震影響、非注力製品からの撤退」を減収要因とした。ただ、2016年12月期第3四半期(2016年10〜12月)3カ月間の半導体売上高は1614億円で前四半期(2016年7〜9月)比8.8%増の増収となったことを挙げ「底は打った」と成長基調にあることを強調した。
2016年1〜12月の営業利益は、780億円で前年比281億円の減。売上総利益率は43.6%で前年と変わらず、営業利益率については12.2%で、前年より2.8ポイント悪化した。
柴田氏は「為替、地震影響、売り上げの減少や、低利益率製品の増加といった売上総利益率を悪化させる要因があったが、構造改革による固定費削減で(悪化要因を)跳ね返し、前年並みを維持した」と分析。また営業利益率についても「成長に向けた研究開発(R&D)費を増額している中で、高い水準は維持した」(柴田氏)と評価した。
ルネサスでは、2013年3月期から2016年度を最終年度として「変革プラン」と呼ぶ構造改革を実施し、売上総利益率45%、営業利益率2桁パーセントを最終年度の達成目標数値として掲げてきた。結果として、営業利益率目標は達成したが、売上総利益率については「思わぬプロダクトミックスの悪化(=低利益率製品の発生)が原因で未達となった。2016年に発表した通り、今後は売上総利益率50%を目指して、2017年度以降も改善に努める」(柴田氏)とした。
2016年4〜12月の9カ月間の設備投資額は728億円で、2016年3月期よりも110億円増加し、ルネサス エレクトロニクス発足以来最高となった。
設備投資について同社社長兼CEOの呉文精氏は、「将来の需要に備える設備投資というよりも、足元の需要に応えるために行っている、やや後追いでの設備投資」と売り上げに直結する堅実な内容での投資であることを強調。投資の内訳についても「前工程中心と思われがちな半導体メーカーの投資内容とは異なる内容」(柴田氏)とし、設備投資の55%は後工程拠点(中国、マレーシア)での生産能力増強に充てているとした。なお前工程への設備投資はおよそ30%で、主にマイコン、パワー半導体の生産能力増強を行ったとした。
今後の設備投資方針について柴田氏は、「2017年度は、2016年度の高水準を維持する見込み。2018年度以降は、以前の水準に時間をかけて、徐々に戻っていくイメージ」とした。
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