InfineonによるCreeのSiC事業買収が破談に : CFIUSの通達が背景に
Infineon Technologiesは、米Creeからパワー&RF事業部として分社化したWolfspeedを8億5000万米ドルで買収する予定だったが、この取引は破談になった。
Infineon TechnologiesによるWolfspeedの買収*) が破談になった。Creeが2017年2月16日(米国時間)に発表した。
*)関連記事:InfineonがWolfspeedを買収へ、SiC事業を強化
対米外国投資委員会(CFIUS:The Committee on Foreign Investment in the United States)が、InfineonとCreeに対し、同取引が米国の国家安全保障にリスクを生じさせるものである、と伝えたことが背景にある。
Infineonは2017年2月8日(ドイツ時間)、CFIUSから上記の通達を受けたが、そのリスクを軽減し得ると考えられる措置は示されなかったと発表している。そのため、Infineonは、「この取引は両社が合意した内容では完了に至らないリスクが高い」としていた。
Creeは引き続き、Wolfspeedの事業を継続する。CEOのChuck Swoboda氏はCreeのリリースで、「InfineonへのWolfspeed売却の取引が破談に終わり、残念に思っている」と述べる一方で、「2016年度におけるWolfspeedの事業は好調だった。われわれの顧客は、当社の独自技術の価値をさらに認識したようだ。WolfspeedはCreeの1事業として堅調な道を歩んでいる」としている。
取引の中止に伴い、Infineonは、リバース・ブレークアップ・フィー(買い手側の違約金)として1250万米ドルをCreeに支払う。
Infineonは2016年7月、Wolfspeedを8億5000万米ドルで買収することでCreeと合意したと発表した。買収は、2016年末の完了を予定していた。
Infineonによる“CreeのSiC事業買収”の狙い
Infineon Technologiesは2016年7月21日、このほど発表したCreeのSiCウエハー/デバイス事業に関する説明を行い、SiCデバイスとともに、SiCウエハーの外販を強化していく方針を明らかにした。
2016年半導体業界再編を振り返る
2016年も、半導体業界の“M&Aの嵐”がやむことはなかった――。2016年年末企画として、ことし1年間に半導体業界で繰り広げられた買収劇(16件)を振り返っていく。
投資ファンドによるLattice買収に暗雲(前編)
2016年11月、米国に拠点を置く未公開株式投資ファンドCanyon Bridge Capital Partnersが、米国のFPGAメーカーLattice Semiconductor(ラティス・セミコンダクター)を13億米ドルで買収すると発表した。だがこれに、米国の規制当局が「待った」をかけている。
GFが中国に工場建設、痛手を負うのは?
GLOBALFOUNDRIES(GF)が中国の成都に工場を建設する。巨額の資金を投じて半導体産業の強化を進める中国にとって、これは朗報だろう。では、痛手を被る可能性があるのは誰なのか。
“CPU大国への道”を突き進む中国、ドローン分解で見えた懸念
中国DJIのドローン「Phantom 4」には、28個ものCPUが搭載されている。CPUの開発で先行するのは依然として米国だが、それを最も明確に追っているのは中国だ。だが分解を進めるにつれ、「搭載するCPUの数を増やす」方法が、機器の進化として、果たして正しい方向なのだろうかという疑問が頭をよぎる。
パワー半導体、シリコンの置き換えは何年も先
ドイツで開催されたパワーエレクトロニクスの展示会「PCIM Europe 2016」では、SiCとGaNを用いたパワー半導体が多く展示された。パワーエレクトロニクス業界に40年以上身を置く、ECPE(European Center for Power Electronics)のプレジデントを務めるLeo Lorenz氏に、現在のパワー半導体の動向について話を聞いた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.