ルネサス エレクトロニクスは、自動運転レベル4に対応する自動運転車の試乗会を東京都内で行った。安全な自動走行に加えて、「半導体の故障」や「サイバー攻撃」にも対応する機能を搭載している。
ルネサス エレクトロニクスは2017年4月6日、自動運転レベル4に対応する自動運転車の試乗会を東京都内で行った。安全な自動走行に加えて、「半導体の故障」や「サイバー攻撃」にも対応する機能を搭載しているのが特長だ。この自動運転車は、「Renesas DevCon Japan 2017」(2017年4月11日、会場=東京都港区のザ・プリンス パークタワー東京)に静態展示される。
ルネサスにとって、自動車向け半導体事業は主力事業の1つである。特に、「自動運転」と「エコカー」を車載分野における注力領域とし、重点投資を行っている。さらに、ここ数年は単なる半導体メーカーから、ソリューションプロバイダーへの脱却を目指し、事業体制の見直しなどに取り組んできた。
今回の試乗会に用意した自動運転のデモカーも、こうした事業方針に基づいて開発、試作した。デモカーは、2017年1月に米国・ラスベガスで開催された「CES」に展示した車両で、外部と通信するための無線周波数など一部を日本仕様に調整した。
自動運転車のリアトランクには、2台の自動運転(HAD)ソリューションキットやV2Xスタータキットおよび、電源などを搭載している。このHADソリューションキットにはそれぞれSoC「R-Car H3」2個、セーフティマイコン「RH850/P1H-C」1個が内蔵されている。合計4個のR-Car H3と合計2個のRH850/P1H-Cが消費する電力はわずか25Wと小さく、電源容量が限られている車載用途においては有用である。
基本的なセンサーとしてはレーダー、ライダー、カメラ、GPSなどが車体に実装されている。これらのセンサーで得た情報を2台のHADソリューションキットで処理し、その結果を車両の制御システムに転送し、ハンドル操作やアクセル、ブレーキ操作などを自動で行う。
レベル4相当の自動運転車はOEMメーカーなどでも試作し、評価を行っている。こうした中で同社は、半導体の故障やサイバー攻撃に向けた対策を取り込んでいる点を強調した。同社の第一ソリューション事業本部セーフティ・ソリューション事業部でシニアエキスパートを務める吉田直樹氏は、「(自動運転の基本機能に加え)半導体メーカーとして、機能安全やセキュリティに対する技術を重視してデモカーを試作した」と話す。
例えば、搭載した4個のSoCのうち、3個のSoCを用いて自動運転の制御を行う。このうち1個のSoCが故障しても、他の2個が同じ結果であれば多数決で正しいと判断する。これによってその場に緊急停車するのではなく、走行を継続しながら安全と思われる路肩などに移動して、危険を回避することができる。
サイバー攻撃に対しても、メインのマイコンに対して不正と思われるハッカーからのアクセスなどをセキュリティエンジンで監視、検知して、不正なプログラムを排除できる機能が組み込まれている。
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