NECは「ワイヤレス・テクノロジー・パーク2017」で、耳音響認証技術による個人認証機能や、地磁気センサーを活用した屋内位置測位機能を現時点で搭載し、将来的にはAI(人工知能)チャットボットによるパーソナルアシスタントや、立体音響による聴覚ナビゲーション機能も備える予定のヒアラブルデバイスを展示した。
「ユーザーの置かれている状況をAI(人工知能)が判断し、その時点で必要な情報を音声で提供する。例えば、ユーザーが遅刻しそうだったら、あと何分以内に駅に着けば間に合うかを伝える――。われわれが目指しているのは、そんなウェアラブルデバイスだ」。
NECは2017年5月24〜26日に東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2017」に、同社がヒアラブルデバイスと呼ぶイヤフォン型ウェアラブルデバイスのプロトタイプを出展し、その将来像をこのように説明した。
NECがイヤフォン型のウェアラブルデバイスを開発しているのは、音声がユーザーインタフェースとなるハンズフリーなコンピューティングスタイルを実現するためだ。NECの説明員は、「スマートフォンの使用中は、目線も手もディスプレイに釘付けになる。だが、音声をインタフェースとしたデバイスは、スポーツや作業など他のことをしながらでも使用できる」と語る。
しかも、NECのヒアラブルデバイスの場合、同社が開発した耳音響認証機能を搭載しているため、パスワードやIDの入力が必要なく、音声だけで個人の認証ができる。NECの耳音響認証機能では、音声をスピーカー経由で耳の中に送信し、反響した音をマイクで受信する。耳の中の形状は人によって全く異なり、同時に反響音も全く違ったものになるため、この方法で99.99%(2016年10月時点の実証値)個人が特定できる。認証にかかる時間は1秒に満たない。
一方、NECのヒアラブルデバイスは、AIと地磁気センサーを活用した屋内位置測位技術も備えている。この位置測位技術は、屋内にある地磁気の特徴をあらかじめAIで学習しておき、ユーザーが移動したときに生じる地磁気の乱れを追い、ユーザーの位置を特定する仕組みだ。Wi-Fiやビーコンを設置するよりも圧倒的に安上がりだという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.