では次に、「この"強いAI"は、いずれ出現するはずだ」と主張をされている、または小説などの中で記載されている権威ある著名人2人をご紹介します。
カーツ・ワイル先生は、生物や機械の「進化の加速性」というものをきちんと計算した上で、そのクロスポイントとなる特異点(シンギュラリティ)を逆算して導き出しています。
残念ながら、上の表に記載のあるカーツ・ワイル先生の未来予測の年数は、外れることになりそうですが、それでも私は、カーツ・ワイル先生の分析は、シミュレーションも行わず、データも示さず、「あと20年後にAIで○○ができる」などと適当に語る博士や教授たちとは、一線を画していると思っています(関連記事:陰湿な人工知能 〜「ハズレ」の中から「マシな奴」を選ぶ)。
カーツ・ワイル先生は、ムーアの法則から、ある知識量が一定の飽和点に至った時に、知識が知性に変質する、という仮説を立てている(と私は解釈した)のですが、この仮説については、私がネガティブです。
その根拠は、既に前々回の「おうちにやってくる人工知能 〜 国家や大企業によるAI技術独占時代の終焉」でお話した通り「4700兆倍の計算能力」です(下図は再掲)。
この値は、これからも指数関数的に増大していくことは間違いありません。現時点で、ここまで大きな値になって、まだ「知性の萌芽」すら見えていないことは、「知識がどんなに積み重なろうとも、それらが知性に変質することはない」という、1つの証拠になっていると思うのです。
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