Appleは、「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X(テン)」を発表した。iPhone Xの価格は999米ドルとやや高い価格設定になっているが、専門家は「Appleのブランド力低下を防ぐにはいい戦略だ」との見解を述べている。
Appleは2017年9月12日(米国時間)、「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」「iPhone X(テン)」を発表した。iPhone Xは、iPhoneを発売して10周年を記念するフラグシップ機種で、999米ドルとなっている。
3機種はいずれも、Appleの新しいカスタムプロセッサ「A11 Bionic」を搭載している。A11 Bionicは、前世代品の「A10 Fusion」に比べて性能、効率ともに大幅に向上していて、AI(人工知能)をサポートするニューラルエンジンを搭載している。さらに特徴的なのは、Appleが初めて内部で設計したGPUを搭載していることだ。
Appleの本社に新設された「Steve Jobs Theater」での初めてのイベントとなった今回のiPhone発表会では、第3世代の「Apple Watch」と「Apple TV」の新バージョンも発表された。Apple TVは4K対応で、HDR(ハイダイナミックレンジ)技術を搭載している。
A11 Bionicは64ビットの6コアプロセッサで、43億個のトランジスタを搭載している。6コアのうち2つは、A10 Fusionよりも25%高速に動作するコアで、4つはA10 Fusionよりも70%効率がよいコアだという。ニューラルエンジンは、iPhone Xの認証を行うための顔認識をサポートする。
AppleのCEOであるTim Cook氏は、「iPhone Xは、初代iPhoneを投入して以来、最も大きな飛躍である」と語った。iPhone Xは、Appleが「Super Retina Display」と呼ぶ5.8型有機EL(OLED)ディスプレイを搭載し、100万:1のコントラスト比を持つ。顔認識を用いる認証の他、ホームボタンもなくなっている。ゲームやその他のアプリケーションにおいてAR(拡張現実)をサポートする機能もある。
ただ、iPhone Xの販売価格は999米ドル(日本では11万2800円(税別)から)と、前世代の機種に比べて高額になっていて、「時がたつにつれ、価格は下がっていく」という民生機器の傾向に逆行している。iPhone 8は699米ドルから(7万7800円から)、iPhone 8 Plusは799米ドルから(8万9800円から)で、こちらの方は前世代に沿った価格帯となっている。
Tirias ResearchのJim McGregor氏は、EE Timesのメールインタビューで、「Appleは他のどのハイテク企業よりも、ブランド力を築くことができている。iPhone Xの価格は、Appleを、より“プレミアムなブランド”として位置付けることになるだろう」との見解を語った。同氏は「ブランド力を下げて価格競争に向かう戦略を採らないAppleにとって、よい選択だ」と続けた。
【翻訳、編集:EE Times Japan】
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