ニューラルプロセッサIP、AI搭載モバイルを後押し:イマジネーションが発表(2/2 ページ)
ImaginationがPowerVR 2NX NNAで狙うのは、モバイル、監視カメラ、自動車、ホームエンターテインメントの4つの分野だ。Longstaff氏は、モバイル機器での画像、動画処理におけるPowerVR 2NX NNAの性能を一例として示した。
1000枚の画像を検索、ソートする場合、ハイエンドGPUを使った場合は60秒かかるが、PowerVR 2NX NNAの場合はわずか2秒で処理できるという。さらに、フル充電されたバッテリーのうち1%分を使ってソートできる画像の数は、ハイエンドGPUの2400枚に比べて、PowerVR 2NX NNAは42万8000枚とする 出典:Imagination Technologies
PowerVR 2NX NNAは、28nmなど成熟したプロセスから12nmや10nmといった最先端プロセスでも製造できる。チップの大きさの目安は、TSMCの16nmプロセスで製造した際に1mm2以下だという。
Imagination TechnologiesのChris Longstaff氏
GoogleやFacebook、Baiduなどの大手ハイテク企業やAppleやHuaweiといったスマートフォンメーカーは軒並み、AI(人工知能)やNNをモバイル機器に搭載する方向に向かっている。「プロセッサを自社開発し、IPベンダーから購入しないメーカーも増えているが、PowerVR 2NX NNAによってそうした顧客を取り戻せる可能性はあるか」という質問に対して、Imaginationは、「GPUやエンコーダーなどを自社開発するといった動きは確かにあるが、1つのチップにさまざまな技術が搭載されるようになっている今、自社のみで全てまかなうのは難しい。PowerVR 2NX NNAのようなチップまで自社開発する可能性は考えにくい」とコメントした。
Longstaff氏は、「これまで、NN計算に特化したアクセラレーターは業界になかった」と述べる。「モバイル機器にNNを搭載しようとする一大トレンドを背景に、PowerVR 2NX NNAは、SoC向けプロセッシングユニットの次なるキーテクノロジーとなるだろう」(同氏)
Imaginationは2017年9月21日、PowerVR 2NX NNAとともに、新たな「PowerVR GPU」シリーズとして「PowerVR GPU 9XE」「同9XM」も発表した。既存の「PowerVR GPU 8XE」および「同8XEP」の後継品種となる。PowerVR GPU 9XEはフィルレート効率を向上したもので、PowerVR GPU 9XMは演算効率を増強し、4K以上のサポートに特にフォーカスしたグラフィックスコアとなっている。PowerVR GPU 9XEおよび9XMは、PowerVR 2NX NNAとも組み合わせることができる。
- 笑う人工知能 〜あなたは記事に踊らされている〜
AI(人工知能)に関する記事は、メディアにあふれ返っています。私は「これらの記事では“人工知能”のことがさっぱり分からん」との結論に至りましたが、では、人工知能を技術的に理解している人は実際どれだけいるのでしょうか。ざっくり推定すると、なんと、例えば「深層学習」を理解している人は50万人のうち4人、という結果を得たのです。
- 困惑する人工知能 〜1秒間の演算の説明に100年かかる!?
コンピュータは、入力値から出力値に至る演算のプロセスを、順番通りに説明できます。ところが、「なぜ、その結果になったのか」と尋ねると、途端に説明できなくなってしまいます。困惑し、黙りこくったり、自分が行った演算を“言い訳”のごとく延々と説明したりと、迷走を始めるのです。
- GoogleからAI用プロセッサ「TPU」が登場
Googleが、人工知能(AI)に向けたアクセラレータチップ「Tensor Processing Unit(TPU)」を独自開発したことを明らかにした。同社が2015年にリリースした、オープンソースのアルゴリズム「TensorFlow」に対応するという。
- AIで社会は良くなるか、それとも混乱するのか
ARMは、人工知能(AI)に関する意識調査を行った。将来はロボットの反乱で混乱するのか、それとももっと良い社会になるのか。
- Googleが第2世代TPUを発表、処理性能は180TFLOPS
Googleは、機械学習(マシンラーニング)向けのプロセッサ「TPU(Tensor Processing Unit)」の第2世代を発表した。トレーニングと推論の両方に最適化されたもので、処理性能は180TFLOPSになるという。
- 2017年の半導体市場は先行き不透明
2017年の世界半導体市場は、見通しを立てるのが難しくなっている。米国のトランプ大統領やイギリスのEU離脱などが、半導体業界の将来予測にも影響を与えている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.