ARMは、人工知能(AI)に関する意識調査を行った。将来はロボットの反乱で混乱するのか、それとももっと良い社会になるのか。
調査結果では、圧倒的大差で未来の社会を楽観していることが分かった。
ARMは2017年7月、人工知能(AI)に関する意識調査を行い、その結果を発表した。60%以上の人が「AI技術によって社会はより良いものになる」と答えた。特に、医療、介護、自動運転などの分野で、その応用が期待されていることが分かった。
AIに関する意識調査は、ARMがNorthstar Research Partnersに委託して行った。調査対象は、米国や英国、スウェーデン、ドイツ、中国、台湾、韓国および、日本でAIについて一定の知識を持つ一般消費者。約4000人から回答を得た。
今回の調査結果によると、AIが社会および日常生活に与える影響では「プラス」と考える人が61%の比率を占めた。AIが作り出す未来については「楽観的」「魅惑的」とみられている。逆に「マイナス(否定的)」と回答したのは22%にとどまった。
AIが社会/日常生活に与えるメリットについて、回答者が最も期待しているのが医学や科学などの分野で、37%が人間を支える形で発展すると答えている。例えば医療分野において、目の検査で57%、脳外科手術では41%の回答者が、「AIドクターの診察行為に不安がない」と答えた。自動運転についても、人間が運転する場合に比べて事故率が顕著に低減することが確認されれば、50%以上の回答者が利用すると答えている。
この他、「退屈な仕事や危険な仕事をAIロボットに任せる」「ビジネスコストの削減による、サービス向上と低価格化」「人為的な事故やミスの発生率低減」などが、メリットと感じている理由の上位となった。
一方で、AIによる弊害も聞いた。不安材料として最も多かったのが将来の雇用喪失である。回答者の30%がAIロボットの登場により、「人々の仕事が減る、あるいは変わる」と指摘した。その影響を受ける可能性の高い職種として、重機建設や宅配、公共交通などを挙げた。ただし、全体でみると、雇用損失を危惧する意見は少数派だという。
調理や消防、農業などの分野は、今後も人間が活躍する領域とみている。特に、大半の職種で、「AI技術を搭載したロボットは、人間が行う仕事の効率を高め、危険な作業領域で活躍する。人間の仕事を奪うものではない」と肯定的であることが分かった。
今回の調査に関する詳細情報とレポート全文(AI Today,AI Tomorrow)には、地域別の回答情報なども収録されている。
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