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7nmプロセスの開発が加速、EUVの導入も現実的にファウンドリー各社の動向(1/2 ページ)

ファウンドリー各社が7nmプロセスの開発を加速している。さらに、半導体製造装置メーカーのASMLもEUV(極端紫外線)リソグラフィシステムの開発を順調に進めている。

» 2018年01月29日 12時00分 公開
[Rick MerrittEE Times]

EUVシステムの出荷台数、2018年は前年比2倍に

 EUV(極端紫外線)リソグラフィを導入するプロセスノードは、今後数年間で10nmから7nmになることが確実視されている。ただし、2018年1月15日から18日まで米国カリフォルニア州で開催された「Industry Strategy Symposium(ISS)」で発表された見解によると、5nmチップを実現するには、フォトレジストに関してまだかなりの取り組みが必要なようだ。

 ISSでは他にも、半導体製造装置メーカーのASMLが、2017年に10台のEUVシステム(EUVリソグラフィ装置)を出荷したことを発表した。2018年にはさらに20台から22台のEUVシステムの出荷を見込んでいるという。それらのシステムは、1時間当たり125枚のウエハーを処理するために必要な250Wのレーザー光源を備える可能性が高いという。

 IC Knowledgeのプレジデントを務めるScotten Jones氏は「7nmのEUVの主な要素は準備が整っているので、2018年にはある程度の量のウエハーを生産できるだろう。一方で、5nmにおけるフォトレジストの欠陥は、まだ桁違いに多い状況だ」と述べている。

EUVではペリクルとレジスト、マスク欠陥検査が大きな課題になるとされている 出典:ASML

 これらの高価な新システムは20年以上かけて開発され、微細化を実現する他、製造時間の短縮に貢献するとしている。新システムは、まずプロセッサなどのロジックチップに適用され、その後DRAMに用いられるようになる見込みだが、既存の3D(3次元) NANDフラッシュチップに使われることはまずないだろうという。

 Jones氏は「EUVは、サイクルタイムとエッジプレースメントエラー(EPE)を劇的に低減するが、少なくとも初期の段階では、コストの大幅な低減は実現できないだろう。とはいえ、コストでのデメリットを補って余りある利点をもたらすため、理にかなった技術だといえる」と続けた。

 Jones氏は、ASMLが2019年から2020年にかけてさらに70台のシステムを出荷すると見込んでいることを明らかにした。同氏は、この台数は、GLOBALFOUNDRIES、Intel、Samsung Electronics、TSMCで開発中のプロセスノードをサポートするには十分だろうとの見解を示している。

 Jones氏によると、ASMLはシステムのアップタイムを約75%から90%に高める計画を進めているという。アップタイムの強化は、リソグラフィ技術の最大の課題である。さらに同氏は、ASMLが今後、EUVウエハーの汚染防止に必要なペリクルを発表するだろうと強調した。

 Jones氏は「5nmプロセス向けのレジストを実現するには、12カ月〜18カ月かけて大幅な改善を行う必要がある。半導体業界は2019年に大量のEUVウエハーを製造する予定であり、それも、装置の改善に貢献するだろう」と述べた。同氏は、EUVウエハーの生産枚数について、2019年は約100万枚、2021年は約340万枚と予測している。

 ASMLのコーポレート戦略およびマーケティング部門でバイスプレジデントを務めるPeter Jenkins氏は、ISSでEE Timesとのインタビューに応じた。Jenkins氏によれば、ASMLは、250Wの光源を使用した際のウエハーのスループットを、1時間当たり145枚から155枚に高めることを目指しているという。さらに、実験では既に375Wの光源を実証済みだとした。

 ASMLによれば、同社が開発中のペリクルは透過率が83%で、これまでに、245Wの光源を使い7000枚以上のウエハーの露光においてテストされているという。第2世代品となる7nm向けペリクルでは、250W以上の光源を使った時の透過率が90%になることを目指して開発を進めているとする。

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