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いよいよ組み込みプロセッサにFinFETを適用 NXPembedded world 2018(1/2 ページ)

NXP Semiconductorsは「embedded world 2018」で、14nm FinFETプロセスを適用した組み込み向けの汎用アプリケーションプロセッサ「i.MX 8M Mini」を発表した。NXPは、「これまで主にスマートフォン向けのプロセッサに使われてきたFinFETプロセスが、いよいよ組み込みプロセッサにも適用される」と強調する。

» 2018年03月07日 15時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

CMOSからFinFETへ、「今がそのタイミング」

 NXP Semiconductors(以下、NXP)は、ドイツ・ニュルンベルクで開催された「embedded world 2018」(2018年2月27日〜3月1日)で記者説明会を開催し、多数の新製品を発表した。

 そのうちの1つが、14nm FinFETを採用した、組み込み機器(モバイルを除く)向けの汎用アプリケーションプロセッサファミリー「i.MX 8M Mini」だ。

 i.MX 8M Miniは、最大2GHzで動作するArm「Cortex-A53」コアを最大4個、400MHzで動作するArm「Cortex-M4」コアを1個搭載する。Cortex-A53コアの数は1個(シングルコア)、2個(デュアルコア)、または4個(クアッドコア)となっている。1080pのビデオエンコーダーおよびデコーダーや、ディスプレイ/カメラインタフェース、Wi-FiやBluetooth、1GビットEthernetなどのインタフェースも搭載した。エッジコンピューティング、HMI(Human Machine Interface)、ビジョンコントロール、音声制御などの用途を狙う。

 サンプル出荷は、一部の顧客向けに2018年第2四半期から始める。一般向けサンプル出荷と量産は、2019年第1四半期に開始する予定だ。

「i.MX 8M Mini」ファミリーの概要(クリックで拡大)

 NXPのConsumer & Industrial Applications Processorsでバイスプレジデントを務めるMartyn Humphries氏は、「組み込み向けのプロセッサでFinFETプロセスを採用したのは、革新的だ」と強調する。「FinFETプロセスを適用した組み込みアプリケーションプロセッサとしては、NXP初の製品となるし、業界でも初なのではないか」(同氏)

 「これまでFinFETプロセスが適用されてきたのはスマートフォンのプロセッサであり、組み込み機器向けプロセッサには使われてこなかった。理由の1つはコストが高かったからだ。消費者は、ハイエンドのスマートフォンであれば喜んでお金を出すかもしれないが、組み込み機器では、そうはいかない。だが、FinFETプロセス技術はだんだんと成熟し、コストも最適化されてきた。FinFETが“こなれた技術”となりつつある今こそ、組み込みプロセッサにも適用を始める最適のタイミングだと考えた」(Humphries氏)

NXPのMartyn Humphries氏

 Humphries氏は、組み込み向けプロセッサにFinFETプロセスを適用することで、より高性能、より低消費電力を実現できると述べる。「用途にもよるが、消費電力については、既存のCMOSプロセスを使ったi.MXシリーズに比べて、3分の1〜5分の1に抑えられると想定している」(同氏)

 i.MX 8M Miniファミリーで採用するのは、Samsung Electonircs(以下、Samsung)の14nmプロセスだ。Humphries氏は、「当社とSamsungは長く協業している。Samsungの28nm FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)プロセスを採用している製品もある」と述べる。

 Humphries氏によれば、FinFETプロセスを、他のi.MXファミリーに適用していく可能性もあるという。「ただ、FinFETプロセスを適用していくとしても、どのi.MXファミリーでも次世代バージョンからとなるだろう。既存のプロセッサを10〜20年の長いスパンで提供することがNXPの強みの1つでもあるからだ」(同氏)

左および中央=「i.MX 8M Mini」のデモはなかったが、「i.MX 8M」のデモが展示されていた。「Amazon Alexa」対応の機器開発に向けたプラットフォームのデモ。「i.MX 8M」が搭載されている。このデモではi.MX 8Mは4K対応ディスプレイへの出力も担っていて、「Alexa、バラク・オバマって誰?」「Alexa、東京の天気を教えて」などと話しかけると、その答えをディスプレイに表示できるようになっていた/右=i.MX 8Mを搭載したレファレンスボード(クリックで拡大)
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