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» 2018年03月15日 11時30分 公開

“アナログ技術大国”へと変貌する中国製品分解で探るアジアのトレンド(26)(2/3 ページ)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

メイン基板のプロセッサはIntel

 図2は、メイン基板の様子である。図には拡大写真を掲載していないが、メイン基板には、Intelのチップがメインプロセッサとして採用されている。このIntelチップは、「ATOM」をコアとするプロセッシング、描画を行うグラフィックIP(Intellectual Property)、2G(第2世代移動通信)/3G(第3世代移動通信)通信のモデム、Wi-Fi/Bluetoothチップなどを集積した、“All in One”のチップである。本連載と並行して弊社が担当している別連載「この10年で起こったこと、次の10年で起こること」の第6回「携帯電話用半導体を巡って繰り広げられた「ババ抜き」」に、本チップの詳細が掲載されている。

図2:内部の基板。2層構造になっている 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 Intelのチップは通信を行うベースバンドとトランシーバーまでが実装されているが、最終的に広域データ通信を行う際のパワーアンプは別のメーカーのものを使う構成になっている。パワーアンプはスマートフォンやIoT(モノのインターネット)ガジェットでも必須のデバイス。特に広域データ通信では通信周波数に対応した多くのパワーアンプが必要となる。

 今回報告しているCar Multimedia Playerは2G/3Gの通信を、スマートフォンを介さずに直接行えるという特徴を持っており、基板にはパワーアンプモジュールが2個搭載されている。2つのパワーアンプは中国Huntersun Electronicsの製品となっている。

 パワーアンプを代表とするパワー系半導体はあらゆる製品に、ほぼ必ず入っている。この分野は日米欧が圧倒的に長らく強い分野であった。通信系パワーアンプでは米SKYWORKS、米Broadcom、米Qorvoなどの採用が多いが、日本製でも村田製作所が世界の多くの製品に活用されている。このように、日米が支配的であったパワーアンプやパワーMOSFETなどの市場にも、中国製がゆっくりとだが確実に入り始めているわけだ。本製品ばかりでなく、モーター系のパワーMOSFETやグラフィックボードなどにも中国メーカーのパワーMOSFETは採用されている。世界的なメーカーのボードに搭載されているのを、筆者はこの目で確認した。

中国Rockchipの電源ICが採用された理由

 プロセッサは、動作シーンやアプリケーションによって電源を止めたり、電圧を変動させたりすることで、消費電力を削減する処理を行っている。スマートフォンのようなモバイル機器では必須の技術である。通常は、プロセッサと電源ICをセット化して、最適化のための処理を行う。本製品では、Intelのプロセッサの電源制御を、中国Rockchip Electronics(以下、Rockchip)の電源ICで行っている。

 実際にはIntelにもチップセット化された電源ICがあるのだが、Rockchipを採用しているのには理由がある。Rockchipの電源ICには多くの機能が備わっていて、よりキメ細かい電力削減が可能だからだろう。メイン基板にも、中国のパワーチップや電源ICなど、いわゆるアナログ要素を持った、難易度の高いチップが使われているのである! 中国は“アナログ大国”なのだと、年間100製品以上の中国製品分解を行っていると痛感する。

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