米国で開催中の光接続技術のカンファレンス「Optical Fiber Conference(OFC)」では、400Gビット/秒Ethernet(400GbE)への取り組みが加速していることが伺える。
2018年3月11日から15日まで米国カリフォルニア州サンディエゴで開催中の「Optical Fiber Conference(OFC)」では、十数社もの企業が400Gビット/秒Ethernet(GbE)対応光学モジュールのプロトタイプのデモを披露している。こうしたモジュールは、2019年後半からデータセンターや通信ネットワークに配備されることが見込まれている。一方、高まる需要に応えるための標準化への取り組みも既に進められている。
今回のOFCで発表される400GbE製品のほとんどは、最新のPAM-4変調技術をベースとした、50GbEを8本用いたものである。IEEEは2018年3月初旬に、100GbEに向けた標準化の取り組みを開始することを承認した。これによって、将来の800GbE規格への動きが加速する可能性がある。
一方、約70社から成る業界団体である「Consortium for On-Board Optics(COBO)」は、ルーターやスイッチのマザーボードに組み込まれるモジュールの仕様を初めてリリースした。この仕様は、400GbE/800GbEにおける熱や消費電力を軽減することを狙ったもので、光学部品と電子部品の統合に向けた第一歩だといえる。
こうした業界の取り組みはいずれも、通信距離や消費電力、熱、コストの点でバランスを取りつつ、可能な限り高速なデータレートを実現することの難しさに直面している。現在、大規模なデータセンターでは、サーバのラック内部のイーサネットが10GbEから25GbEに移行されている他、ラック間では100GbEが導入され始めている。
Microsoftのデータセンター部門のネットワーキングスペシャリストであり、COBOのチェアマンも務めるBrad Booth氏は「400GbEは次のフェーズである。2019年末から2020年初めに導入が始まることを望む声もあり、スイッチシリコンなど多くの部品が登場しつつあるようだ」と述べた。
Booth氏は今回のOFCで、十数社もの光学モジュールベンダーが400GbE関連製品を披露すると見込んでいる。AT&T Labsは、400GbEの実証実験に関する論文を発表する予定だ。また、GoogleやMicrosoftなど8社のエンジニアらがパネルディスカッションに登壇し、400GbEの光学部品について議論し合うという。
COBOのアプローチは、ルーターやスイッチに搭載されているモジュールから光学部品を取り除き、マザーボードに組み込むというものである。これにより、空気の流れが改善し、より大きなヒートシンクを使うことができるようになるので、データ速度の高速化に伴い、システムに求められている熱の制約を減らせるとしている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.