半導体ファウンドリーの先駆けとなる1987年のTSMC設立から30年以上がたったが、620億米ドル規模のグローバルビジネスにおける台湾の優位性が衰える気配はない。TSMCは2017年、ファウンドリー業界の世界売上高の約52%を占めた。
半導体ファウンドリーの先駆けとなる1987年のTSMC設立から30年以上がたったが、620億米ドル規模のグローバルビジネスにおける台湾の優位性が衰える気配はない。
米国の市場調査会社のIC Insightsによると、TSMCは世界最大のファウンドリーで、2017年の売上高は第2位のベンダーであるGLOBALFOUNDRIESの5倍以上となる322億米ドルだった。TSMCは2017年、ファウンドリー業界の世界売上高の約52%を占めたという。
台湾には、ファウンドリー売上高世界第3位のUMCと第6位のPowerchip Technologyもある。TSMCとUMC、Powerchip Technologyの売上高を合計すると、2017年のファウンドリー総売上高の62%を占める。
台湾のファウンドリービジネスの現状を表すには、「成功している」という表現では足りない。台湾には、世界トップ6のファウンドリーの中の3社があり、工場やサプライチェーンインフラ、さらに最も重要である“他に類を見ない人材”を擁している。地震の多い島に数多くのファウンドリーが集中していることが懸念され、他の地域、特に中国の企業が多くの課題に直面している状況においても、台湾は確固たる優位性を確立している。
市場調査会社であるIHS Markitの半導体製造部門でシニアディレクターを務めるLen Jelinek氏は、「実際に、台湾には生産量でTSMCとUMCの間に位置する工場や、Powerchip TechnologyやVanguard International Semiconductor(VIS)などのメモリ企業が数多くあり、台湾がファウンドリー業界の首位の座から転落するとは考えにくい」と述べている。
Jelinek氏は、「最先端ファウンドリーを構築するには、技術基盤の整備と研究開発への投資、地域の優れた人材が必要だ。こうした観点から言えば、台湾は人材だけでなくインフラにおいてもリーダーシップを発揮している」と語った。
米国のGLOBALFOUNDRIESと韓国のSamsung Electronicsは近年、TSMCの技術的なリーダーシップに対抗すべく、大手半導体ベンダーの顧客を獲得しようと画策してきた。しかし、TSMCの売上高は依然として、GLOBALFOUNDRIES(2017年の売上高61億米ドル)とSamsung Electronics(同46億米ドル)を大きく上回っている。Jelinek氏は、「最先端ファウンドリーにおけるTSMCのリーダーシップと豊富な人材に打ち勝つことは、事実上不可能だ」と述べている。
Jelinek氏は、「絶対的なリーダーシップを誇る企業には、次世代技術の開発における卓越した資質がある」と述べている。
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