TDKはドイツ・ミュンヘンで開催された「electronica 2018」(2018年11月13〜16日)で、開発中の技術を含め、車載向けや産業向けの製品を展示した。
TDKはドイツ・ミュンヘンで開催された「electronica 2018」(2018年11月13〜16日)で、車載向け、産業向け、ICT向けと3つの分野に向けて製品を展示した。
今回のelectronicaでは、完成品だけでなく、研究開発中の技術も展示した。新しい用途を探り、顧客層を広げるためだ。そうした技術の一つが、単結晶の蛍光素子「スマートクリスタル」である。青色レーザーを照射すると黄色に発色する。単結晶なので、熱に強く、発光効率が高いのが特長だ。TDKによれば、光学特性を維持できる最高温度は約300℃だという。さらに、東北大学と共同で開発したμ-PD(Pulling Down)法(マイクロ引き下げ法)*)により、自由な断面形状で作製できる。円柱、角柱、星形、U字型といった具合だ。
*)μ-PD法:育成した単結晶を、下向きに引き下げる。作製速度が速い。
有力なアプリケーションの一つが、自動車のヘッドライトだ。ヘッドライトは、長距離のハイビームを出せるレーザーを使うことが注目されている。レーザーの出力が大きいほど遠くまでハイビームを飛ばせるが、その分、熱が発生してしまう。スマートクリスタルの耐熱性があれば、熱の課題を解決できるとTDKは考えている。
自動車向けとして、指紋認証を行う超音波MEMSセンサーのデモも展示した。TDKが買収したInvenSenseのセンサーだ。デモでは、TDKの透明導電性フィルムと組み合わせ、指紋認証によってロックが解除されると、クルマの窓が透明になる様子を披露した。透明導電性フィルムは、液晶をフィルムで挟んだもので、電圧をかけると液晶分子のねじれが変化することで透明になる。
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