NTTは、光透過性に優れた「透ける電池」を開発し、その基本動作を確認した。透過率は一般的なサングラスとほぼ同等だという。
NTTは2018年11月、光透過性に優れた「透ける電池」を開発し、その基本動作を確認したと発表した。
一般的な電池の電極は、負極や電解質、正極を金属の集電層で挟む構造となっている。全体的に黒色であり光は透過しない。これに対し今回は、集電層や電解質、負極に透明な材料を、正極に褐色の材料をそれぞれ採用することで透過性を高めた。
今回試作した透ける電池は、電極を導電性フィルム上に成膜、電解質をゲル化することで、「透ける」と「曲がる」を両立させた。試作品の外形寸法は9×5cmである。試作した電池を市販のLEDランプに接続したところ、5分間点灯したことを確認した。
NTTは分光光度計を用い、試作した透ける電池の光透過特性を評価した。この結果、透過率は平均約25%であることが分かった。この数値は、前方が透けて見える一般的なサングラスの透過率に相当するという。
充放電特性も評価した。平均電池電圧は1.7V、放電容量は0.03mAh(電流密度0.01mA/cm2)であった。この数値は、一般家庭にある掃き出し窓の約1.5個分の面積にすれば、コイン電池(CR1025)に相当する容量が得られるという。また、充放電を100回繰り返した後でも、LEDランプの点灯が可能なことを確認した。このことから、二次電池として利用できることが分かった。
NTTは今後、開発した電池の透明度と特性のさらなる向上を図りつつ、IoT(モノのインターネット)機器など具体的な用途開拓に乗り出す計画だ。
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